ハッピーバースデー
「いい本があるよ」と友人に紹介され、めったに小説を読まない私が、なんとなく読んでみようかなという気になって注文した本でした。読みやすさいい、ストーリーといい、身近かにありそうな話の中で、12歳になる主人公の生き方にとても勇気をもらいました。人は一人では生きていけない。人とのかかわりの中で成長し、心も育まれていくのだということ、とても感動でした。
親との関係で悩む子ども、子どもとの関係で悩む親、自分探しの旅の途中にいる人、多くの人に読んで欲しい本です。
こうして初のレビューを書く気にさせてくれた本です。
身近な人にもこれからすすめようと思います。
火宅の人 (上巻) (新潮文庫)
『リツ子・その愛-その死』と並ぶ檀一雄の傑作私小説である。障害のある子供すらいるのに、女優の愛人と遊び暮らす男、それが檀一雄である。ダメ男のはずなのに、そこに不思議な爽快感が漂い続ける。それは檀一雄という男の魅力なのだろうか。
火宅の人 下 新潮文庫 た 5-4
20年間にわたって書き続けた壮大なる自分史です。私は檀一雄氏については檀ふみさんの父親という印象しかなかったのですが、本書を読んで当時、いかに檀一雄氏が人気作家であったかが良く分かります。そして本人が人気作家である事を利用して思うが儘、我儘に生きてきた事の証と反省と誇りが集大成されたのが本書です。これは人気作家であったからこそ出来る生き方なのでしょうが、サラリーマンの私にとっては非常に羨ましい生き方に感じます。人間が飲食や性、そして生きる事に対して素直に生きたらきっと著者のような生活になるのだと思います。太宰治と比較してこのような生き方の出来た著者は非常に幸せな人に感じます。
わが心の詩
1曲目は、北村協一指揮、創価合唱団の演奏で、山本伸一作詞、多田武彦作曲の『わが心の詩』が収録されており、2曲目は山田一雄指揮、創価合唱団、土屋律子のピアノによる演奏で、尾崎磋瑛子作詞、佐藤眞作曲の『蔵王』が収録されています。別のレコードをCDになった時にカップリングしたものです。1980年と1982年の収録です。
『わが心の詩』は、山本伸一氏の写真詩集を題材にして「春風」「五月の海」「夢」「富士と詩人」「爽やかな別れの日に」「秋風」「旅人」の7曲が選ばれて1982年に作曲したものです。内3曲にテノール・ソロが、1曲にソプラノ・ソロがあり、愛唱しやすい雰囲気を持った合唱作品です。特に「春風」と「爽やかな別れの日に」は、多田節とも言われる音楽技法が感じられるステキな曲でした。多田氏の混声合唱組曲は珍しく、この音源も貴重ですが、購入が難しいのが残念です。多田武彦の音楽を数多く指揮してこられた北村協一氏の解釈はお手本のようなもので、創価合唱団の演奏もソロも立派で心に染みる演奏でした。
『蔵王』は、1961年の文部省主催第16回芸術祭合唱部門参加作品で、ニッポン放送の依頼を受けて作曲したものです。佐藤眞が、東京芸術大学の専攻科1年在学中に作曲された合唱曲の中で不朽の名曲といわれるものの一つです。
東京芸術大学の指揮科教授で、京都市交響楽団の常任指揮者であった山田一雄指揮による『蔵王』は、指揮振り同様、ダイナミックで歯切れの良い解釈で、それに呼応する立派な創価合唱団の演奏を聴くことができます。なおナレーションは入っておりませんので。