Dr.コトー診療所 スペシャル・エディション 1 [VHS]
これは医療ドラマであると同時に人々との交流を描いた人間ドラマである。医療施設もない島に単身で来たわけありのコトー先生を吉岡秀隆が熱演している。コトー先生は今までのドラマにありがちな威厳ある医者とは異なった親しみやすく優しさあふれる人柄だ。医者が患者を自分のことのように思い、涙を流すのはきっとコトー先生くらいだと思う。だからこそ医者を信用していなかった島民の心を溶かしていけたんだろう。
Dr.コトー診療所 25 Dr.コトー、想い悩む。 (ヤングサンデーコミックス)
星野さんに乳ガンという試練を与え、医者を目指して島を離れるという
展開にしたものの、彼女の代わりに島にやってこさせたミナちんも
しょせんは星野さんの代わりにはなり得ず、とうとうミナちんを他へやって、
星野さんを戻して、また初めの路線に戻した・・・という感じが否めないのですが、
まあこれが一番安心して読める展開ではあります。
でも、プロポーズまでしたコトー先生と一緒にいるのに、
二人がそのことについてどう考えているのかがまったく描かれないのが
何か不自然なような気がします。
星野さんが島を離れるまでのいきさつはなかったことにしたいのかな。
Dr.コトー診療所2004 DVD BOX
島の子供たちが精一杯合唱する曲は、
杉本竜一氏のビリーヴでNHK生き物地球紀行で使用されていた曲です。
テーマ曲と共に心に残る選曲ですね。
剛洋とひなとの微笑ましいエピソードあり、
あきおじの面影を偲ぶ場面あり、
そして昌代とその周囲を巻き込んでの話と発展して・・・・
明るい島の風景に目を奪われがちですが、
離島である故の哀しみや苦しみも散りばめられて、
深く考えさせられる内容となっています。
それでも暗くならず、希望を作品の中に感じられるのは、
コトー先生演じる吉岡君の深い表情なのでしょう。
何気ない仕草でも言葉を感じさせる、
彼の演技は素晴らしいと思います。
メイキング等を収録した特典ディスクも見逃せませんね。
出演者の人達の普段の声を早く聞きたいです。
Dr.コトー診療所 24 (ヤングサンデーコミックス)
戻ってきた星野看護師とともに、島の人々から尊敬されるコトー先生の奮闘記。
今回は、島のロケにやってきた女優さんの病を癒すことと、内ばあちゃんの老後を扱っている。
我を張り、自らを追い込んで生きる女優さんは、病気になったらそれまでと崖っぷちの生活をしていた。
だが、心の垣根を跳び越えて救いの手をさしのべるのはコトー以外にもたくさんいる。
つくづく、身につまされる思いだ。健康なうちは愛想のいい人も、いざ相手が病気になったらハイエナのように貪るのか!
女優さんのマネージャー、監督の真心が嬉しいが、現実にもこんな人たちがいて欲しい。
コトー先生の理解者である、内ばあさんが、島を離れる。
息子さんが、手元に置きたいと望んだのだ。新しい環境に慣れようとするのだが、島恋しさにおばあさんの心は疲れてくる。
その時に、息子さんが初めて気づく。「母さんの足はこんなに小さいのか」
これも身につまされる問題だ。 物語の中と思っていたが、現実に自分や自分に似た人の境遇を考えると、この漫画のような、幸せな解決を
求めるべきなのだが、なかなかに現実は動かない。
この中で語られる社会が眩しい。
Dr.コトー診療所 スペシャル・エディション DVD-BOX
吉岡秀隆と言えば、北の国の純君のイメージが強くて、それほど上手い役者とも思っていなかった。が、このドラマでそれは180度ひっくり返っってしまった!抑えた演技、控えめな声のトーン、それでいてコトーはこういう人間だと思わせてしまう彼の魅力。ドラマ後半のあきおじの死の場面でそれは証明される。自分の死期を感じてあきおじが、手紙と自分の人生の中で人に自慢できるものとしてコトーのためにつくったわらじ。それをみてこみ上げる感情、そして涙。見ているほうも涙なくしては見れない名シーン。ドラマだと解っていても、まるでドキュメンタリーを見ているかのような彼の涙に、心をわしづかみにされました。出演者が、本当に島に住んでいるかのような錯覚さえ感じるドラマは本当に久しぶりです。ぜひ見て俳優吉岡秀隆のすばらしさと、骨太なドラマ、そして島の風景にどっぷりつかってください。