レンブラントの帽子
昨年、新訳で出たマラマッド(ユダヤ系アメリカ人作家・86年没)の短編集。
「レンブラントの帽子」、「引出しの中の人間」、「わが子に、殺される」の三編が収録されていて、和田誠さんの装丁もいい。
昔読んだ他の作品がどんなものだったか忘れたのだが、この三編にはどれも、二人の人間の間の人情の機微というようなものが描かれている。
すなわち、「他者というもののわかりにくさ」と、それでもなお、相手を理解しようと歩み寄るということ。
更に言えば、そのような心境に至るまでの、「自分の心のわかりにくさ」も。
そうして、どれもとても短いにもかかわらず、彼らのそのような心理が展開する舞台がしっかりと構築されているという点もいい。(もっとも、冷戦時代の米ソ事情を知らないと、「引出しの中の人間」に関してはピンと来ないことだろうが)
三編だけではちょっと物足りない気もしたので、★は4つ。
カラヴァッジオ 【HDマスター】 DVD
多分、公開されているものはすべて観ている、というくらいに、ほぼ唯一、すべての作品が好きな画家です。
どれほど観ても、飽きる事がないほど、ずっとずっと観ていたい、私にとっては素晴らしい画家の一人です。
「芸術家」という言葉から(特に中世の巨匠において)連想する神聖なイメージからは程遠い一生にも惹かれます。
それでもなおかつ、その作品の求心力は、神聖という言葉がもっとも似合う気がします。
この作品も、それがあるんです。
この作品におけるミケランジェロ・メリージ(カラヴァッジォ)は、とても人間的で現実的です。
芸術家である自負はあっても、そこに「神聖性」など本人は微塵も感じていない。
でも、観賞者(映画も絵画も)には、カラヴァッジォの神聖性が伝わっている。
愛人のラヌッチォとレナも、低俗で野卑。
なのに、カラヴァッジォ(と観賞者)の目には、その神聖性が映る。
監督の視点が明確な作品であり、それを観賞者に伝えるための演出に工夫をした作品だと思いました。
惜しむらくはただ1点。
カラヴァッジォの作品にある力強さ。
この作品のミケランジェロ・メリージは、そこが足りない。
カラヴァッジォの強さ(実際にそうであったかはわかりませんが)を描いて欲しかったと思います。
ショーン・ビーンが良かった。
ラヌッチォという役は、とにかくその「美」というのを観賞者が納得できなければ、成り立たない役柄だと思いますし、
その「美」を観賞者が納得する事が、この作品で重要なポイントの一つです。
性格や背景は二の次で、「美しいラヌッチォ」が第一前提です、
低俗で野卑であり、なおかつ(だからこそ?)美しい存在。
ショーン・ビーンのクラッシックな美貌には、カラヴァッジォが見出した「美」と、描き出した「神聖」のリアリティがあります。
駆け出しの20代で、これほど綺麗に撮ってもらえたのは、ショーン・ビーンにとっては記念的作品かもしれませんね。
放蕩息子の帰郷―父の家に立ち返る物語―
キリスト教関連の本は色々と読みましたが、“もう一度読み返したいと思う”本を振り返ってみると、必ずこれが入ります。
“神様ってどんな方??”と思われる方にはやさしく答えてくれるでしょうし、
“辛くて自分が愛されていることが実感できない”時に読むと、著者のヘンリナウエンが一緒に、神様の愛に向かってくださるはず!
著者の素直さと、誰にでも判りやすい表現がまた、素敵だと思いました。
迷宮のレンブラント【字幕版】 [VHS]
志はあるもののなかなか売れないので贋作製作で暮す腕の良い画家ジェイソン・パトリックが主人公、ある日、レンブラントの行方不明作品の贋作製作を依頼されたことから国際的な美術シンジケートの陰謀に巻き込まれ、、、というヒッチコック・タイプのサスペンス映画、
タイトルに「迷宮の、」と付くのでオカルトをイメージする人も多いでしょうがその方面の要素は皆無、主人公にとって誰が本当の敵なのかが分からないので二転三転するどんでん返しを楽しむベテラン・プロ監督による手堅い娯楽映画と評するのが正しいと判断、
ハリウッド映画のプロによる職人仕事の見事さに感心させられるのが、前半のクライマックスであるレンブラントの贋作作りに取り組むシーン、アイデア、材料調達、製作と順を追って進む場面の面白さは美術好きほど、なるほどなるほど、と面白くてしょうがないでしょう、ミニミニ大作戦やオーシャンズ11における下準備シーンの楽しさと全く同類です、
オランダ、フランスそしてスペイン・ロケの美しい映像は良、往年のハリウッド・スター、ロッド・スタイガーにとってのたしか遺作だったと思います、トーキング・ヘッズのデビッド・バーンがカメオで出演しています、
PCゲーム「D.C.IITo You」ボーカルミニアルバム
このミニアルバムはゲームのOPそれぞれの話のED、挿入歌です。そしてその話に歌詞がとてもリンクした曲です。ゲームのテーマが雨、別れ、涙なのでメロディもどこか切なく悲しくD.C.ToYouの世界をとても上手に表現しています。もちろんゲームをプレイしなくてもとても感動できる素晴らしい楽曲です。
自分はゲームを初めてプレイした時から発売をとても楽しみにしていました。購入後、期待を遥かに凌ぐ完成度にとても衝撃を受けました。素晴らしい作品たちを送り出してくれているCIRCUSさんには本当に毎回感謝しています。
ゲームしかりCDしかりどちらでも良いのでみなさんにも手に取っていただけたらなと思います。かならず自分の世界観が変わる心に響くものがあるはずです・・・