三谷幸喜のありふれた生活7 ザ・マジックイヤー
朝日新聞に連載されている三谷幸喜のエッセイの単行本化。およそ1年分が収録されている(ということは1年に1冊しかでないということ)。
今回のメインは、三谷幸喜が監督した映画、『マジックアワー』の話。巻末にはその映画の資料も収録されている。
このエッセイ集も7冊目だけど、昔に比べると彼の仕事(舞台や映画)の話が多く、昔のように小林聡美との絡みや彼の日常での失敗談が少ない。そっちの方がなんだか親しみがもてて好きだ。
でも相変わらず、達者な文章で読ませる。
踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ! シナリオ・ガイドブック (キネ旬ムック)
映画の内容は別にして、本としてはかなり良い仕上がりとなっています。
作りとしては、OD1からはあまり変わってません。
ただ、出演者のインタビューが多くなったと思います。
かなり分厚いので、電車で読むには難しいと思うので、家で地道に読むしかないでしょう。(それぐらいのボリュームです)
ファンの間で、否の方が多かった演出などについて監督などのコメントがあります。
自分としても納得は出来なかったけど、「そういう考えなんだぁ」と知れた事には満足しています。
映画の内容に満足してなくても、ファンなら買っても良いと思います。
サルサ食堂~日本ラテン化計画!~
発売予約してから時間がかかりましたけど、届いてからはもう最高でこんなに何度も繰り返し聞いた事がないくらい毎日聞いています。サルサの事は知らなかったんですけど大好きになりました!特に大黒マキさんの最後に勝つのは私!ってところが胸がスカッてしました。チョ〜オススメで〜す!
日輪の遺産 特別版 [DVD]
敗戦を目前にした1945年8月。3人の軍人が、軍が戦争初期に獲得したマッカーサーの隠し財産を、敗戦までに神奈川県内の地下壕に隠匿する密命を帯びる…。そして、その莫大な額の隠し財産は戦後日本の再建の礎になるはず…。フィクション作品としてはすごく興味深いテーマです。
中心となる軍人たちや、作業をする生徒たちの級長である久枝、教師などを演じた出演者の演技も真に迫って素晴らしいものでした。真柴少佐が林の中を他の2人と走るシーンも、軍人の走り方を意識したものになっていましたし、セットや小道具も丁寧に作られていたと思います。大蔵省から陸軍に出向中でいかにもインテリでエリート然とした小泉主計中尉、2人の護衛役となる曹長もクールでかっこ良いです。
しかし、ミッキーカーチスや八千草薫の出てくる現代のシーンの大半は不要なのでは…と思いました。現代から過去を回想するシーンから物語が始まる方法があまりにベタで、違和感を持ちました。第2次大戦を舞台やテーマとして撮られた最近の日本映画は、このパターンが多すぎるのではないでしょうか。冗長な現代のシーンと、ハラハラさせられる過去のシーンとで、ちょっと落差を感じてしまいました。現代のシーンが過去を振り返ってベタに正当化したり美化する手段にしか使われていないので、少々飽きてきました。その分を、もう少しストーリーそのものを描くことに使ってほしかったように感じました。
現代のシーンをのぞけば、途中まではハラハラドキドキさせられる展開で、真柴少佐や小泉中尉、曹長が困難を乗り越えて隠し財産を守り通す様子や、生徒たちが作業を進めるのを、心の中で「がんばれ!」と応援してしまいます。しかし、終わり方はあっけない。
財宝の秘密を守るために小泉主計注意が拳銃自殺を遂げるのを見届けたマッカーサーが、「こいつら日本人の心は鋼鉄でできているのか!」とさけびます。冷静に見るとちょっと手前味噌でわざとらしいですが、それでも日本人の自尊心をくすぐってくれる心地よい台詞です。また、少女たちは守るように命じられた財宝を、屍となっても守りぬきました。しかし、結局、財宝は地下に封印されてしまいます。「うーん、これおでは少女たちは犬死じゃないのか、犬死を美化するなよ」と心の中で突っ込んでしまいました。原作を読んでいないので何とも言えませんが、日本人の強さや高潔さを描くなら、現代の人間に過去を振り返らせて語らせるのではなく、もう少し他の方法や表現はなかったのでしょうか。
日輪の遺産 特別版 Blu-ray
物語は、八千草薫演じる20人の少女のただ1人の生き残りである久枝の長い長い回想で語られます。900億円というのは現在の貨幣価値にして約200兆円だそう。もともとの出所が怪しいその財宝を、軍人がお国のために残したとだけ言われたとしたら、正直、素直にありがたい気持ちにはなれない。だがこの物語では、何も知らず国や軍のために働き、犠牲になった少女たちの思いがそこにあったとするところが、胸を打つ。マッカーサーの財宝隠匿という大掛かりなミステリーの隙間に見えるのは、戦争の犠牲になったけなげな少女たちの笑顔。丁寧で誠実な演出が佐々部清監督らしい。
堺雅人、中村獅童、福士誠治たちが演じた軍人も、ステレオタイプでない、人間味溢れるキャラでとても好感が持てたし、リベラルな教師を演じたユースケ・サンタマリアも、役者陣はホントに上手い。そして、20人の少女たち。「日本が米国を攻撃したら、むこうの女学生はどうなってしまうのか」というセリフは、衝撃的でした。ただでさえ食糧もなく、常に危険と隣り合わせの状況にも関わらず敵国の心配をするなんてことが果たして自分にできるのか...。
莫大な財宝を秘匿する密命を受けた男が、大義の前で己の命だけでなく少女たちの青春まで奪う価値があるのかを問う。死んでいった者、自決すら許されなかったもの、生き残った者、それぞれの立場から戦争の不条理が描かれます。
しかし、物語は退役米兵の回想と女子学生唯一の生存者の打ち明け話の二重構造の中途半端な構成をとったため、米兵部分の蛇足感が否めません。作品に重厚さを加えようとしたのかもしれませんが、その意図はあきらかに失敗しています。少女たちの亡霊(?)に会うシークエンスでスッパリ終わっておけばよかった。