バレンボイム音楽論──対話と共存のフーガ
バレンボイムがイギリス室内管弦楽団と録音した弾き振りのモーツァルト・ピアノコンチェルト全集が
素晴らしかったので、彼が書いた本に興味を持った。
この本の中に「モーツァルト」という章があることを知ったのも購入動機のひとつ。
読んでみると、かなり思っていたのとは違った内容だった。
彼の音楽論が展開される前半は、よくいえば論理的なのだが、かなり理屈っぽい。
「モーツァルト」の章はページ数的にわずかで、一問一答形式で、こちらも拍子抜け。
彼がイギリス室内管弦楽団と演奏した時は、こんなに理屈っぽくなく、大家然としていない
若々しく柔軟な頃だったのだろう。
この本の彼の印象は、ベルリンフィルを振る世界的に著名な指揮者としての
現在のポジションの上にあるようだ。
とはいえ、スピノザに心酔し、つねに主著『エチカ』を持ち歩き、ぼろぼろになるまで読んでいるとか、
沈黙や静寂に関する考察など、示唆に富んだ記述も少なくない。
巻末の彼の年譜は詳細で、興味深い。
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ「悲愴」「月光」「熱情」
他の方も書かれていますが、バレンボイムさんの演奏方法は好き嫌いがわかれるようですね。
確かに他の演奏家と比べると『ため』があるような気がしますが、私はこの『ため』が好きなので購入してよかったです。
バレンボイムのピアノ演奏、ベートーヴェンのソナタは初めてという方に気軽に聴いてもらいたい一枚だと思います。
音楽に生きる―ダニエル・バレンボイム自伝
この本は、バレンボイムがシカゴ交響楽団の音楽監督に就任する前に書かれたものです。バレンボイムが自伝と言ったら何を期待するかといえば・・ワイドショー的になってしまうのだけど彼の奥さんだったジャクリーヌ デュ プレとの私生活の事をどう語っているかだと思う。その事を期待してこの本を読んだら正直まったくまでは、いかないけれど期待しないほうがいい。意識的にさけてるというくらいそのことについては語っていないからだ。(結婚式の写真はあるけれど)彼の音楽人生でどうしても絡んでくるので音楽面で彼女の話は出てくるのだけど・・。むしろこの本は、バレンボイムが音楽に対してどう接してきたのか、そういう姿勢を書いた本の構成になっているわけで。。バレンボイムの音楽が好きな人や!彼の音楽に対する姿勢を読みたい人向けの本です。