穴 [VHS]
市川崑の1957年作品。『ビルマの竪琴』『炎上』『野火』といった、間違いなく彼の才能の第一のピークを迎えた大映時代の、その合間に撮られた一本。
「商品の説明」にある通りのサスペンス・コメディなのだが、ルビッチなどアメリカのコメディの影響や、目まぐるしい展開とたたみかけるようなセリフなどの実験的な手法が盛り込まれた、まさに才気走ったと形容するにふさわしい出来である。市川の実験精神がその後の日本映画の幅をどれだけ広げたかを思い知らされる。
今の東京都知事の石原センセーが出てきて、歌まで披露する貴重な一本ですので、お笑いの、いや話のタネにもぜひご覧あれ。
船越英一郎の京都案内
船越英一郎のファンには喜ばれる企画ですが、京都ガイドとなると普通の本です。割烹とかバーなど庶民には縁遠いお店の紹介も多く、そのあたりを知った上での購入なら読み物として愉しみながら読めることでしょう。
本作りに定評のあるマガジンハウスですので上手く編集してあります。本人が語っているように書いている「構成・取材・文」の大和まこさんは、京都在住の定評のあるライターですから、読みやすい文章でした。写真も美しくその意味では悪くありません。
第1章の京都コンシェルジュ・船越がナビする京都・春夏秋冬コース(春 桜色に染まる東山へ'京都・桜の名所 夏 涼を求めて鞍馬&貴船、鴨川へ'京都・夏の行事 秋 まさに絶景なり。錦繍の嵐山へ'京都・紅葉の名所 冬 華やかな行事と冬の味。凛とした祇園へ'京都・冬の行事)ですが、今年の5月末の3日間で撮影を敢行しています。
ここでの船越英一郎は、それぞれの季節の服装に替えて京都を代表するような街角に登場していることを考えるとドラマの撮影と基本的には同じです。シナリオがあって1日10軒以上廻り、それぞれの場所でポーズをきめる「船越英一郎」を演じていると考えた方が理解できるでしょう。
もっともマッサージの「日吉堂」などの選択は、まさしくご本人の愛用のお店でしょうし、バー『雪月花』もご本人の古くから通われているお店ですので、当然のことながら本人の愛好のお店は随所に散りばめられていました。
第2章のロケ場所から撮影所まで船越の撮影現場のぞき見ツアー!(京都サスペンス案内 船越ドラマのロケ地巡礼)は面白かったですね。ロケ地巡礼はテレビのワンシーンをもってきています。東映京都撮影所はそれこそホームグラウンドですし、俳優・船越英一郎が語る京都である意味が伝わってきます。
第3章の船越が選び抜いた京都完全グルメガイド(グルメ刑事事件簿 京都2泊3日くいだおれ捜査! 京都に来たら、これ食べなきゃ。ジャンル別グルメセレクト)でのお店の選択は上手いですね。そのような企画になっているのでしょう。
もっともここに掲載してあるお店は観光客でも少し食事にこだわる方向きでしょうね。安いラーメン店などの紹介もありますし、下立売通大宮西入のキッチン・ゴンなどの嬉しい紹介もありますが、全体的に少し高級志向でした。古くからの友人と歩く錦市場はごく普通の紹介でした。
第4章のパワースポットからお土産まで京都の奥はまだまだ深い(ご利益確実!?秘密のパワースポット うまいもんとお土産コレクション)で紹介されている庶民的な「まるき製パン所」のハムロールはおススメしますが、船越英一郎がここへ行ってこれを買っているとは思えません。それでもこのようなディープ京都のお店の情報は評価します。
112ページ以降の京都の名品やお土産の紹介はよく吟味してありました。外れはありません。