わが悲しき娼婦たちの思い出 (Obra de Garc〓a M〓rquez (2004))
川端康成「眠れる美女」の冒頭が頭に引用されていました。
そしてこの小説自体も、
「満九十歳の誕生日に。うら若い処女を狂ったように愛して、
自分の誕生祝いにしようと考えた」と刺激的に始まります。
主な登場人物は、年老いて娼家を営む旧知の女と、
やっと女らしい体になったばかりで男を知らない美しい娘、
そしてこの娘に恋をしてしまう90歳の老学者だけ。
この老人の恋心が、なんとも言えずにせつないのですが、
小説を読んでいて思い出すこともいくつかありました。
「人は自分の内側から老いを感じるのではなくて、
外側にいる人たちがそう見なすだけの話よ」
娘を思うあまりに自分の年齢を恥じはじめた主人公を、
娼家の老女はそう言葉を掛けて力付ける。ここには
彼の援助を必要とする「貧しい娘」の設定はあるけれど、
娘と心を通じ合わせて幸福になる、男の本質が押さえてある。
死を前にしてこそ、本当に大切なものが見えてくる。
その大切なものをしっかりと捕まえることに遠慮は要らない。
この小説の持つ毒は夢のようにロマンチックでありながら、
それが90歳を過ぎて死に近付いた男の叫びであるところが、
なんとも不気味な、この小説の恐ろしさでもあるようです。
百年の孤独 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1967))
特に読みにくい本でもないければ、すぐに飽きてしまう本でも、とてつもなく分厚い本でもないのに、私は本書を読み終えるのに非常に時間がかかりました。だからといって決してわずらわしい、冗長な本ではありません。(ひとつ苦しんだのは冒頭に家系図があるものの、登場人物の名前ですね。覚えられない名前ではなく、同じ名前が頻繁に出てくることですね。)
で、今この本が私の中でどの地位についたのかと言えば、(よく言われるたとえですが、)無人島に3冊の本しかもっていけないとしたら、確実に本書がその一冊になります。(ちなみに他の2冊は、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』、ジョン・クロウリーの『リトル・ビッグ』です)。
時間があるときにある意味腹をくくって、じっくりと本書をお読みになることをお勧めします。
速読できる方がすらすら読み進めていってしまうのは、少しお勧めできませんね。独特の文体の(それでいて読みにくいわけではない)うねる様な文章を堪能していただきたい。
いざマコンドへ!
オーシャンズ11 特別版 [DVD]
気分爽快である。それ以上の価値を求めてもしょうがない。何回も観たいと思う作品では無いが、万人に受ける映画だろう。ただ作品に「ジュリアロバーツ」を起用した点がちょっと解せない。あきらかに「話題性」のみを狙ったキャスティングだからだ。
豪華キャストなのに価格が安いという点で星4つ。
ブラインドネス スペシャル・エディション(初回限定生産2枚組) [DVD]
何が原因で視力を失ったかは描かれていない、という皆さんのレビューを見たので、その点は特に気にならなかった。
その分、発症後の人間の動向の描写に期待しすぎたのが、良くなかったのだろうか。
心理面の描写も「そうなるだろうな」という感想はあるが、そこまでだった。
なんと言ったらいいのか………
きれいにまとめているというか、核心をついているようでついていないというか。
想定範囲内の物足りなさが残る。
クラシックCDこの1枚~101曲いいとこどり
どれもこれも、いい曲だけど、短すぎるのが少し・・・
でもこれからクラシックを聞いてみたいけど、よく分からないといったひとに、自分のすきなジャンルを探すのには薦められます。値段も安く、かなり良心的。もしなにか買おうと思っているなら、これを聞いてからのほうが、より自分にあった音楽に出逢える可能性が広がると思いますよ。