遺恨あり 明治十三年 最後の仇討 [DVD]
素晴らしい作品だった。
私はこの話を末長く後世に遺したいと感じた。
幕末・維新というある種異様な絶頂感の支配する
異常な時代にあって、武士の美徳と近代国家の法がせめぎ合う。
藤原竜也の抑えた演技が、全編を通して画面から緊迫感を滲み出させる。
彼こそは、言葉を発せずに背中で演技の出来る数少ない稀有な役者である。
臼井六郎は仇討ちが成し遂げられるのか?
彼は悲劇の夜からどのように思い、行動するのか?
悲劇の主人公・臼井六郎を取り巻く人間たちの対応は?
史実をもとに、一部脚色も交えての映像化だそうだが、『最後の仇討』と
あるが如く、その緊張感が生々しく伝わってくる。
史実に忠実な部分と脚色部分がどこなのか知らないが、私が思うに、
臼井六郎は山岡鉄舟と本当に会っていたのか?
臼井と対峙する吉岡扮する判事の中江は、中江兆民のパロディなのか?
という疑問が残った。
特に中江は、理想主義者で、劇中でも東洋のルソー・中江兆民の『民約訳解』
を読んでいる場面があったし、土佐藩の郷士という共通点も…。
刀とは無縁の今を生きる我々にも、時代とは、人間とは、日本人とは……
と語りかけてくる重いテーマ。
ヒマラヤの風にのって 進行がん、余命3週間の作家が伝えたかったこと
還暦の誕生日から2ヶ月の若さで永眠された吉村達也氏の遺作。
彼の死を受け入れることができるまで3ヶ月という日数を要した私の疑問を、この作品で解決してくれた。
未完に終わったシリーズ作品の結末が知りたくてずっと待っていたが、結局どうなるんだろうという不安は残るが、最期の日を家族と迎える心構えや病人としての考え方など、いろいろ参考になった。
ご冥福をお祈りします。合掌。
妖精鬼殺人事件 (魔界百物語01)
この本の前に本屋大賞取ったミステリー?を読んで、だまされた感が強かっただけに、読みながら充実感がありました。 物語的にもテンポがよく、けっこう厚い本だけど、すぐに読了。 ただ、多分今後の伏線になってるんだろうけど登場人物が多過ぎてウザかった。