忍風カムイ外伝 巻之七 [DVD]
白土三平原作『カムイ外伝』のTVアニメ化。 タイトルを“『忍風カムイ外伝』” として、
1969年4月からフジテレビ系にて半年間に渡り放送されたカラー・アニメーション作品(全26話)。
これは、その“初DVD化”となったシリーズ(全七巻)の最終巻「巻之七」。
「巻之七」では、 第25話『月日貝』、第26話『十文字霞くづし』(最終回)の2話分を収録。
この“初DVD化”シリーズは、「名場面集」、「キャラクター紹介」等の“映像特典”も魅力である。
最終巻「巻之七」では、なんと当時のアニメ製作スタッフの方々のインタヴューや、アニメ『忍者武芸帳』パイロットフィルムも収録!
アニメ製作スタッフの各先生方のインタヴューは当時のアニメ製作状況を知る上でも重要である。
脚本や作画‥担当スタッフの各先生方が『カムイ外伝』のアニメ製作は“青春”であったと語っておられるのも印象深い。
ジャケットの原画は、このDVDの内容と直接関係ないが『カムイ伝』の掲載誌『ガロ』の表紙となったものと同じ構図で描かれたもの。
これは、“カムイ”が、まだ忍びの社会に入る以前に処刑されてしまった彼の“双子の弟”を描いたものである。
しかし、この原画、実は時計方向の逆に90度横にした観方が本当なのである。正しい向きで印刷されなかったのは残念であったが・・・。
各巻共に原作者による原画のジャケットが魅力の最初のDVDシリーズでもあるのだ。(各巻に封入の解説書もあり。)
『カムイ外伝』は、別個の『カムイ伝(本伝)』から分岐独立した、いわゆる“スピン・オフ”作品に位置付けられる。
それは、“抜忍カムイ”を主人公とした物語・・・
忍びの社会の非情な掟。掟を破った“抜忍”には、ただ“死”の制裁があるのみ。
抜忍となった“カムイ”に次々と暗殺者(刺客)達が襲いかかってくる。
己の編み出した「霞斬り」、「飯綱落とし」等の秘術を頼りに、「自由」を求めるカムイの孤独な逃亡の旅は続くのであった・・・。
最終巻「巻之七」の2話分は、同じ抜忍の境遇の仲間達と交流するカムイの“抜忍(人間として)の怒り”がテーマとなっていると思われる。
ちなみに、第21話以降(六話分)のエピソード、放送当時は作者の原作漫画(劇画)の存在はなく“未発表”であった。
アニメ化する原作漫画のストックが尽きてしまい、作者の草案をアニメ版で先行発表するという運びとなった訳です。
このエピソード、その13年後(1982年)には作者自身による漫画(劇画)版としても青年誌で発表されました。
それを一冊にまとめたコミック『カムイ外伝-スガルの島- (ビッグコミックススペシャル) 』がある。
忍風 カムイ外伝 Blu-ray Complete BOX<6枚組>
自身が幼い頃幾度となく再放送を観ていたのだが、今になり
改めて見直すと、こんなにも殺伐とした本格的な忍者アニメ
だったのかと軽く驚きました。これを子供が欠かさず観てい
たとは…。当時アニメ絵のプリントされたシャツを着ていた
ことを思い出しました。
作中は江戸時代初期、まだ人権意識などない時代。社会の
最下層に生きる人々の悲哀も描かれます。いわゆる非人に生
まれたカムイが自由を求めて忍者になり、しかしそこはさら
に厳しい掟で縛られる世界、忍びの世界をも抜けて、決して
足を洗うことを許さぬ首領から向けられる追っ手と戦う状況
になっているところから物語は始まります。
そもそも実際の忍者って黒装束に覆面なんてしておらず、野
良着や流浪人の格好で、あるいは農業を兼業してたりしていた
はずです。白土三平の漫画通り、アニメも描かれています。
それにしても非情すぎる筋書き、最終タームの「スガル編」
の結末には慄然としました。追っ手不動は裏切り、というより
元から追っ手として欺いていたのであり、それは役割として
見事な遂行ぶりでした。
抜け忍狩りというものが、実際どこまであったのかわかりま
せんが、白土漫画をクールに描いた傑作です。