南米ポトシ銀山―スペイン帝国を支えた“打出の小槌” (中公新書)
スペインは、というかハプスブルグ家はカトリックを守るために戦争を繰り返し
また宮廷内には宮廷貴族という穀潰しの寄生虫ばかりになり深刻な財政危機に陥ってしまった
一方ではレコンキスタ後の領地をもらえなかった下級貴族もあふれた
というわけで南米に押しかけてきて布教しつつ侵略したわけだな
その中で銀山が発見され、原住民をこき使いつつ生産を続けた
ところが当時の技術レベルでは生産性が低く、資材・食料を運び込むのにも険阻な地で困難
なので労働力を集めるのにもインカ時代の労役のシステムを利用するなど一苦労
その中で現地に入植した小領主というか鉱山のオーナーと
本土のスペインの政府との利害対立は激化をしていく
その中で同じキリスト教徒になったはずの原住民の悲惨な労働の実態に悲嘆し
その人権擁護に奔走する聖職者も多々出てくるのである
結局は生産性の低さを強制労働でまかなおうとしたという最悪のパターン
ハプスブルグ家の搾取によって地元の経済発展に貢献しなかった、という指摘もあるけど
まあインカ帝国がアマルガム法を発見するか導入するかしていて
ヨーロッパと有利な条件で交易をしていたら解決していた問題かというと
まともな交易の量を確保しようと思えばあまりの生産性の低さに
やっぱり人口を吸い上げまくって強制労働させて社会を崩壊させていたはず
日本の金銀の鉱山の生産性の高さに感謝だわw
ポル・ポト 死の監獄S21―クメール・ルージュと大量虐殺
本書はクメール・ルージュの狂気の実態を詳細に分析していき,
やがてそれがいつでもどこでも起こりうることだと結論付ける.
自分を正義の味方と信じる人間は常に何かを悪と決めつけ,
それを倒すことに血道を上げる内に多くの人間が踏みつけられていく.
そんな人間が集団を作り,国家の実権を握れば,
このような地獄絵図はいつでも繰り返される.
著者は確かにクメール・ルージュ政権下で取材したわけではない.
だがだからこそ冷静に物が言えるのだ.
いくら戦火の中取材したと言っても,とりあえずアメリカのせいにして一件落着するあのジャーナリストやかのジャーナリストなんかよりはよっぽど信頼が置けると言える.