夏の流れ (講談社文芸文庫)
もう何十年も前に書かれていた「デッドマンウォーキング」。
他の作品も中東で起きている自爆テロや、国家による拉致など現在の国際問題に相通じるものを感じます。
著者自身も随分まえに「作品が時代に先行しすぎ」と書かれていましたが、正にその通りに・・。
作品にハマると依存性中毒となり、他のベストセラー小説が(下らなく感じ)読めなくなる危険性もあります。
今をときめく悩科学者が筆者を”組長”と尊敬する理由もわかる気がします。
ブナの実はそれでも虹を夢見る
前の2冊(「首輪を外すとき」「怒れニッポン」)はあまりに主張が煽動的になりすぎた感があった。
小生としては、初めて氏に対する評価を落とすと感じる作品だった。ゆえに、今作には注目していた。
内容は普通に良かった。表題通りブナを中心とする近年の氏の、庭との格闘とその心模様をまとめたエッセイになっている。
今回は政治的な意見や尖鋭的な文章はほとんどなく、基本的に庭仕事を通して、また自然を通して感じる氏の思考の内面を、
丁寧に文章に紡いだという印象だ。地味な内容ながらも、さすがの文体で自然の奥深さを伝えてくれる味のある作品になっている。
前作のように個人的な主張を一方的にまくし立てられるよりも、庭仕事という一つの軸のなかで、氏の主張を的確に表現する方が、
読み手としては共鳴しやすいし、合点することも多かった。
同時に批判されることも多い難解な文体も、日本語の言葉の旋律を味わうという点では、今となっては希少なものであり、
そこは氏の一つの個性として評価している。加えて、時に滑稽にさえ感じられる文章の言い回しには、氏の狙いであるかは
分からないが無意識にニヤリとさせられてしまうことも多い。たまには難解な文章を読んで、日本語を感じるというのもまた粋だし、
いい歳になっても分からない語彙を電子辞書で調べるというのもまた、知的情熱をかき立てる有為な作業だとポジティブに捉えていたい。
少なくとも本作では、氏の庭と、氏自身の現況と思索が話の中心にしっかりと据えられているため、直近の2作で、違和感を感じた方も
気にせず、再度挑戦されてはいかがだろうか。きっと愉しい読書を再び味わえると思う。
ときめきに死す [DVD]
自分が設定した目的に向けて努力する。そして何がしかの成果を重ねていく。人間の営為を支えているこのような暗黙理の原理を、この作品は根底から揺さぶる。何者かによって依頼された「仕事」。登場人物の3人は、指示された準備に没頭しながら決行の日を待っている。だが彼らは「仕事」の全貌を最後まで知らされない。しかも彼らの生活は常時何者かによって監視されている。そして「予測されていた」あっけない幕切れ。このストーリーは、人間の存在を極度に不安にさせる。森田芳光が自ら語ったように「涼しい」作品だ。物語の始りと最後に画面一杯に映し出される道南地方の緑が、その涼しさをいっそう鮮烈に演出する。
最新 CMプランナー入門
CMプランナーの入門というタイトルですが
アイディア入門でもありクリエティビティ(創造性)入門
ともいえる本です。
とにかくわかりやすい!よみやすい本でした。
広告にはアイデアが必要です。
アイディアとは、何か。
また、どうやってアイデアをみつけていくのか。
「思考の道具」になりそうなキーワードを世界中の具体的な事例を使って説明してくれています。
ビジュアル的にも見やすく理解しやすかったです。
実際に普段はみることのないCMプランナーの企画コンテもあり、
制作プロセスであったり実際にどのような現場でどうような仕事をしているのか
リアルに想像できました。
CMプランナーを目指す人や広告が好きな人に本当におすすめ!な本です。
怒れ、ニッポン!
ほとんどの作家が作品として怒りを表明しない中で、丸山健二がこのよう
な書籍を発表するのはやはり賞賛に値する。
茂木といっしょというのは、確かにいただけないだろう。
ただし、作家なのだから、活動する必要はない。文字で表すのが職務
なのだから。