皇子かプリンス 1 (マーガレットコミックス)
大雑把な設定を言うと、イケメン皇子二人が平凡な主人公と関わる話です。
皇子さまと一般市民女子なんて、少女向け作品では昔から使い古された設定ですが、日本という舞台だからこそ、インパクトがありました。今まで、あるようで無かった作品だと思います。
連載が始まった当初雑誌で読んだときは、前作とは雰囲気が大分変わったなと思いつつしっかり読んでなかったのですが、好きな作家さんなので1巻は買ってみようと思い、纏めてきちんと読んだところ素直に面白いと感じました。次巻も迷い無く買いだと思いました。
主人公つなぐは、良く言えば、物事の長所を有りのまま素直に受け入れることの出来る人間です。しかし他人から見ると、良い事ばかり言ってる八方美人ように見え、自分がない人間と思われがちだったりします。
そんなつなぐが憧れるのは、国の象徴である「皇子さま」。
ある日、つなぐの学校に転入生がきて、その人が皇子さまにそっくりだというところから話は始まります。その転入生は、いつもメディアに出てる皇子の双子の兄で、彼らは仲が悪く、何年も言葉を交わしていなかった二人が主人公を切欠に久しぶりに交流持つことになり、つなぐが二人の皇子を繋げる橋渡しになるという話です。
また、桃森先生はキャラクターの表情など描くの凄く上手い作家さんだと思うので、これから皇子たち、特に自分の個を抑える弟皇子が主人公つなぐにどのような表情を見せていくのかと思うと、これからの展開が凄く楽しみです。
設定としては、双子皇子の片割れをどうして国民がほとんど忘れてるのかって部分は突っ込みどころになるかもしれませんが、親世代の記憶にはあったとしても、メディアに出てたり個人的に調べたりしない限りはわからないものなのかもしれません。この作品内での『皇家』(読みは「こうけ」でなく「おうけ」)は、国民的象徴という名のある種アイドル崇拝的要素が強いので、表に出ない人間は国民の記憶に留まってないのも案外普通なのかもしれません。
ただ、面白い作品だとは思いますが、設定が設定なので、人気がないから打ち切りといったような単純な心配以外の部分で、個人的には不安要素がある作品です。
ハツカレ 9 (マーガレットコミックス (4089))
もう連載は最終回でおわっちゃったけど、9かんではチロちゃんがはじめて泣くシーンがあります。
ふわふわしてるけど涙みせたことなかったなーチロってつよいなと思いました。
そんなチロがハシモトくんの前ではすなおになって泣いたところがすごいきゅーってきた。
遠くにいっちゃうハシモトくんがゆってくれた優しくてつよい言葉で、チロちゃんはうれしくてさみしくて泣けたんだなって思いました。
あとふたりの公園のキスするまでのしりとりがすごいリアルでうらやましいっ!
ハツカレ 初彼 1 [DVD]
水嶋ヒロくんが観たくて買いましたが、高校生の甘酸っぱい恋愛に胸がキュンとなるお話です。私は高1の娘の母ですが、高校生の頃ってこんなだったかも…と懐かしく、ちょっとドキドキして観ました。ヒロくんは中盤からやっと出てくるのですが、イブシという、主役の2人の仲を邪魔する(?)、凄〜く変わり者の高校生役。でも微笑ましくて笑えます。関西弁なのもGOODでした。
何より、黒川智花ちゃんが凄く可愛い!
悪魔とラブソング 11 (マーガレットコミックス)
1〜4巻辺りまでは愚かなクラスメイト達とそれに輪をかけて愚かな教師に苛々しつつ、
5〜7巻辺りはマリア&あんなの感情のもつれあいとそれが引き起こす渦に巻き込まれつつ、
8巻になって黒須が登場してからは、ようやく少し場が和んだことをほほえましく思いつつ、11巻まで読んできました。
テーマの大きな柱の一つは過去のトラウマと言ってしまえばありがちなパターンですが、展開や見せ方が上手だと感じます。
マリアの恐怖感、焦燥感、深層に眠る「離さない」という言葉への拒絶反応、幻覚や幻聴、どれもうまく機能していて説得力があります。
同じ「トラウマ」という題材を扱ってもそれが単にアイテム化している作品も多々ある中で本作は好感が持てます。
11巻では最終章に向かってだんだん物語が動き出してきた感じがします。
マリアより右手をかばってしまったことへの罪悪感に苦しむ目黒、
笑顔を絶やさないながらも相変わらず心の中がいまいち見えない優介、
出生の事情が明らかになり、実父や祖父との歩み寄りが出来て少し荷が軽くなるマリア。
目黒の迷いはピアニストを目指す者ならば至極当然だと思うので
そんなに自分を責めなくてもよいと思うのですが…というか早くきちんと診てもらおうよ…。
前巻で弦が錆びているから云々という振りがあったので、傷が致命的にならないといいのですが。
マリアの様なコに「自分のせいで目黒がダメになった」と思わせたらもうホントにオシマイだよと思うので、
心からマリアを大事に想うのなら、目黒には自分をこそ大事にして欲しいな。
10巻で目黒の想いが爆発したことでマリアはある意味仮死状態から覚醒したと言えるので、
これからどうなるかはわかりませんが、できれば二人には幸せになってもらいたいものです。
あんな・優介の動向もまた気になるところです。
シスターがマリアに贈ったクロスと同じモノをあんなも持っていたこと、
マリアの母の実家が経営する制作所にそれらとそっくりなクロスがあったこと、
マリアの母の容貌があんなとダブること、目黒への気持ちがどうなったのか不明であること、
そしてどうも釈然としない消え方…彼女にはまだまだ色々と謎や引っ掛かる点がありますので、
その辺もこれからまた触れられる機会があるのか、それとも本当にあれきりなのか気になります。
優介のマリアへの気持ちがどの程度のものなのか、それもまだよく解らないのでもう少し本音を見せて欲しいな。
マリアの両の手の平の傷痕はキリストの磔刑のシンボルの様で意味深ですね。
昔々の西洋絵画にも、キリストでもない人物の両掌に象徴的に傷痕を描き入れたものがありますが、
マリアのそれもキリストの犠牲のモチーフか何かなのかな?
本作にはそういったモノがあちこちに散りばめられているので(※作品に宗教色があるという意味ではないです)、
作者がそれらに込めた気持ちやそのモチーフが果たす役割をあれこれ推測しながら読むと楽しいです。
この先ユダみたいな人物が出ないことを願っておこう…。
マリアを取り巻く人達がその刺激を受けていい方へ変わっていくのも読んでいて楽しい点です。
自分へのイジメをニコニコすることで諦め受け流していた友世も、集団を操って自分の意志を通させようとしていた亜由も、
偉大な父の影で小さく身を潜めているしか出来なかった目黒も、みんなマリアと関わることでひとつ成長しています。
マリアは勿論ですが、その輪を取り巻く人達それぞれにとっても、「死と再生の物語」―という感じがして、なかなか深い作品だなと思います。
これからの展開も楽しみに見守りたいと思います。
ハツカレ 5 (集英社文庫 と 27-5)
ハシモトくんとチロ、お互いを思いやるからこそのじれったさと遠慮。
でも、、確実にわがままに自分の欲というものを出していっています。
だんだんきれい事だけでは済まされない感情を知っていく、
その入り口にきたような感じです。
距離を近づけていくのはハシモトくんとチロだけじゃなくて
ハシモトとイブシというまったく友達でも何でもなかった二人が
これまた男同士の分かり合いを深めていく。
同じ人を好きになった者どうし、彼らもまた
時間をかけてゆっくりと、その関係を変化させていっています。