時をかける少女 【期間数量限定生産版】 [DVD]
映画という限られた時間内で、よくこれだけまとめられたなと思った作品である。
内容に首をかしげるようなことがなかったし、テンポがいいので疲れないとてもいいアニメだと思う。
人物の作画も高校生らしさが非常によく出ていて、キャラクターそれぞれに親近感がわいた。
欲を言うならば、主人公たちが通う高校なのだが、もう少し高校らしくしてくれたらよかったと思う。構内に芝生の広場のようなものがあったり、比較的広い中庭のようなところがあったりと、下手をすると大学並みに設備のいい高校になってしまっている。
撮影を協力している高校のうちの一校が私の母校なのだが、一部のシーンだけがやけに高校らしく眼に映ってしまい、ギャップを感じてしまった。
トータルではとてもいいので、是非ご覧になっていただきたい。
サマーウォーズ 公式ガイドブック SUMMER DAYS MEMORY
お盆明けのシネコンは、えらいことになっていた。
公開直後、そこそこ入ったお客さんたちと一緒に一度観て、それからまもなくハコが小さくなり「やっぱ無謀だったか、拡大公開は……。」と思ったところへ細田監督の前作『時をかける少女』が何度めかの地上波オンエア。これがピンポイント的に功を奏したのか、そのお盆明け、まだ大きいハコではなかったが、ほぼ満席の盛況ぶりとなっていたのだった。
客層も幅広く、上映終了後、あちこちから好意的な感想がきこえてきたのも、またうれしいことだった。
細田監督が、またやってくれた。
そしてその仕事に、観客がちゃんとついて来た。
その一人として、この『サマーウォーズ』という新たな傑作に触れることのできたオレは、まったくもって幸せ者だったのだ。
そして、この本。
演出過剰になることなく必要なコマが連ねられている、ラストまでのフィルム・ストーリーが約100ページ。残りの約40ページがスタッフ/キャストへのインタビューやコメント、キャラクター・デザイン画、美術設定、デジタル設定などで構成されている。
しかし、改めて思ったけど、本当によくできた話だ。
本編を観ていて、胸を打たれはしたけど泣くとこまで行かなかったこのオレが、この本を見ていて思わず泣いてしまったのだから。
これはストーリーに《力》がある、ってことだな、きっと。
映像ソフト発売が待てない人のための本でもあるが、じゃあソフト化されたらもういいのか、というと、決してそうではない。
現物にあたることなく、心静かに『サマーウォーズ』の物語を反芻したい時も、きっと来る。
そういう時のためにも、ぜひこの一冊をお手許に置いておいてほしい。
なお、この本の表紙は“三層構造”になっており、大きな帯を外し、さらにカバーを外すことによって、それぞれ異なった魅力ある『顔』をみることができる。
時をかける少女 【期間数量限定生産版】 [Blu-ray]
まず、劇中の「空気」がリアル過ぎてもう・・・何とも言えません(笑)
下手にノスタルジーを感じる訳でもなく、かといって「今現在」でもない。本当に、「数年前」の空気が存分に?味わえます。
今、20代前半くらいの方が一番感情移入しやすいと思います。(高校時代が余りにも昔になった人には共感しがたいかも)
放課後のシーンなんかは、上手く言えませんが、何とも言えない気持ちになりました。
たった数年前に高校生でも、もう帰れません。思わずタイムリープしたくなりました・・・
時をかける少女 〈新装版〉 (角川文庫)
後にNHK連続テレビドラマ「タイムトラベラー」、原田知世主演映画「時をかける少女」になったことで有名ですが、現時点で2001年までその時のトップアイドルの主演で何度かドラマ化されるなど、昭和40年初版のこの作品は不思議な人気を保っています。
おそらくは昭和30年代のお話なんでしょうが、中学校の様子など、現在とあまり違いませんし、今読んでもほとんど違和感は無いと思います。
ストーリーの展開は大変に面白く、スリルもあり、小説として十分に楽しめるものですが、現在の中学生よりやや大人っぽく感じる主人公の女の子の話し方や感じ方がなんだか可愛くて魅力があり、小説の女の子に恋する感じが味わえるかもしれません。
そして、同時に収録されている2編のSF短編がまた素晴らしい。「悪夢の真相」は深層心理学を、「果てしなき多元宇宙」は量子物理学分野でのユニークな考え方である多世界解釈を、平易にかつ面白く小説にすることに成功しています。科学をいかにもフィクション向けに捻じ曲げたという感じではないと思います。それでいて、やはり女の子の感情表現が上手いですね。筒井康隆さんって、(変な意味でなく)若い少女が大好きなのだと思います。
七瀬ふたたび (新潮文庫)
家族八景の続編。美貌の女性火田七瀬は、相手の心を読むことのできる能力をもつ。そんな七瀬が出会う、いろいろな超能力者。そして七瀬たちの抹殺を狙う謎の集団。次々やられる仲間たち、七瀬たちは、生き残れるのか・・・。
孤独な超能力者たちの邂逅、追い詰めながらも必死で反撃する七瀬の可憐さが、「追われる系の話」の暗さの中で光ります。
これまた、何度読んでも、その度に、強い印象が残る本です。たぶん、一生忘れない本でしょう。