神聖喜劇〈第1巻〉 (光文社文庫)
軍隊の話ということで少し気が重かったんだけど、表紙がきれいなのと字が大きいことに惹かれて読んでみました。
出だしの文章が硬くって取っ付きにくい印象を受けるかもしれませんが、読んでいくとわくわくして続きを読まずにいられなくさせる小説です。主人公がピンチに陥っては切り抜けたり推理小説っぽいところがあったりして、軍隊の話というよりはエンターテイメントとして肩の力を抜いて楽しめます。
この小説の雰囲気をわかりやすく言うと、原のハードボイルドな探偵や村上春樹の小説の主人公を徴兵して軍隊に入れたらこんな感じになりそうです。主人公の格好よさもこの小説の魅力でしょう。
全5冊でまだ4冊あって毎月発売が楽しみです。
神聖喜劇 (第1巻)
大西巨人の原作を紐解いた事のある人ならこの作品の漫画化という作業がどれほどの大仕事だったかが分かるだろう。事実この作品は十年という歳月をかけて作り上げられ(原作は二十五年)、その仕事は見事に成功の域に達している。しかしこれを読んで原作を知った気になってはいけない。原作に忠実に描かれてはいるけれどやはり奥行きに限界はある。それはまったくこの漫画の評価を落とすものではないし、原作者もこれらの作品は別々の独立した作品として読まれるべきだとも言っているが、やはり原作あっての本書、原作を知っているがゆえに楽しめた部分は少なくない。原作への最良のガイドにもなると解説で中条氏は語っているが、僕としてはやはり原作の後に本書を読まれる事をおすすめする。もちろんガイドとしても一向に問題はない。つまりは、原作を読んでみて欲しいという一言につきる。