Ten Man Mop Or Mr. Reservoir Butler Rides Again
スティーライ・スパンの初期3枚はどれも傑作です。2006年にアルカンジェロが紙ジャケ再発しましたが、その中で一番すごかったのが、この『テン・マン・モップ』の紙ジャケ。UK origianlであるペガサス盤を見事に再現しています。このペガサス盤は、あまりに凝った作りだったために、製造価格が販売価格を超えてしまい、売れれば売れるほど赤字になったという伝説があります。LP市場でも、ペガサス盤と、再発のムーンクレスト盤では値段が全く違います。
2011年4月現在、アルカンジェロからのスティーライ・スパンの紙ジャケCDはどれも「在庫なし」「入手困難」な状態です。フェアポートコンヴェンションやペンタングルが通常の紙ジャケ再発、紙ジャケ+SHM−CD再発、プラケースでのSHM−CD再発と、ストックが常にある状態を保っていてくれる状態なのに…。
よって、スティーライ・スパンの初期3枚を聞きたければ、1stはブックレットが充実した輸入盤CDがありますが、2nd、3rdはこれと言った決定盤がありません。3rdの『テン・マン・モップ』の場合だと、この1989年発売の輸入盤CDが一番容易で安価に手に入りますが、出来栄えもチープです。ブックレットも付いていないですし、なんといってもジャケット写真がオリジナルジャケットの色ではなく、茶色になっているだけで、なんだかがっかりしてしまいます。
Lark in the Morning
最近になって、フェアポート・コンヴェンションの凄さを再認識し、今まで関心のなかったスティーライ・スパンをはじめて聞きました。この作品は、元フェアポートのアシュリー・ハッチングス在籍時の初期3作が丸ごと収められており、未発表曲も1曲ありという徳用品です。
コアなファンの評価としては、この時期がスティーライ・スパンの最盛期というのが一般的らしいですが、確かにマディ・プライアのヴォーカルとか、2・3作目のドラムレスの演奏とか、「荘厳」という表現がぴったりくる曲が並んでいます。特に名高い「ブラックスミス」や「ラブリー・オン・ザ・ウォーター」には非常に惹かれました。
一方、歌詞の内容が自然に理解できない身としては、曲調が似たような曲が多いだけに、3作品分連続して聞くのは少々きついなというのも率直な感想です。フォーク・トラッド系の作品が好きな方にはお薦めできる作品です。
Hark the Village Wait
スティーライ・スパンの国内盤だと、2006年にアルカンジェロから紙ジャケで再発されていますが、いまや入手困難な状態です。オリジナルLPを見事に再現した日本製紙ジャケで、中でもすごいのが3rdの『テン・マン・モップ』。UK originalのペガサス盤のまさにミニチュア、さすが日本製!と思いました。ペガサス盤はあまりに凝った作りのため、販売価格よりも製造価格の方が高くなってしまい、売れれば売れるほど赤字になったという伝説があります。
さて、スティーライ・スパンの1stにあたる今作は、アルカンジェロからの紙ジャケは1枚組です。2枚組になっている2ndや3rdと違って、ボーナストラックなど付いていないですし、作りも極めてシンプルです。
それに対して、この輸入盤はブックレットが充実していますし、ジャケットの微妙な色合いもちゃんと出ています。(『テン・マン・モップ』の1989年に出された輸入盤のジャケの色はあまりにひどい!)
だから、今、安く容易にスティーライ・スパンを聞きたいと思う方はこのCDがお勧めです。内容も素晴らしいです。