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国債・非常事態宣言 「3年以内の暴落」へのカウントダウン (朝日新書)
本書については、レビュアーさんによっていろいろな意見があるようですが、私は価値のある本と思いました。著者の主張の是非には様々な評価はあるかと思いますが、少なくとも、膨れ上がる日本国債問題を平易にわかりやすく説明をしている点は評価できると思います。
本書の前半は、「日本国債は、ギリシャなどとは違って、大部分が日本国内の投資家によって支えられているから大丈夫」とか、「金融資産が潤沢にあるから大丈夫」のような、よくある説明に反論し、警鐘をならしています。
私たちは、いま、「なんとなく不安には思っているが、当面はまあ大丈夫だろう」と考え、痛みを先送りし、負担を後世代に押してけている状態です。そして、本書は、日本国債を持っていない人にとっても、「私は関係ない」というわけにはいかず、極めて身近で重大な問題であることを解説しています。
本書の後半は、日本国債の格付けが低下傾向にある理由や、財政健全化対策の遅れ、そして現在の日本政府のガバナンスの欠如について書いています。
確かに、いまの民主党政権は、子供手当や高校無償化や高速道路無料化などバラマキ政策を行う一方で、その財源は当初「ムダな支出を洗い出して削る」のようないいかげんな説明に終始していました。そして、東日本大震災が起こってからも、消費税増税の話はするものの、歳出面で見直しは十分に行っていません。
本書は、放置すればするほど危機が高まっていることに警鐘をならしています。
ヨーロッパで金融危機が高まる中で、本書は、日本国債の問題、その背景にある日本経済の問題、さらには日本政府のガバナンスの問題について問題提起した優れた本と思います。
経済や政治について言及する以上、さまざまな意見があることは理解できますが、そのような意見の相違があったとしても、少なくとも一読には値すると思います。
トムとジェリー(5)【日本語吹替版】 [VHS]
このビデオは、自分がトムとジェリーシリーズの中で初めてみたものです。
他のものも見ましたが、これがトップクラスにおもしろいと思います。
話の数が多いのでそこも楽しめると思います。
日本人の矜持―九人との対話
ごく普通の辞書には「矜持」とは、「自信や誇りを持って、堂々と振る舞うこと。ブライド」のような意味が書かれている。「新明解国語辞典」だけは違う。「自分自身をエリートだと、積極的に思う気持」とある。これは聞き捨てならない言い方で、エリート意識は鼻持ちならないニュアンスがあるはずである。
本書のタイトル「矜持」はどうか。著者は前書きで「めったに使われない単語だけに手垢がついていない。颯爽とした清涼感は私のイメージにぴったり」であると言っている。「素晴らしいタイトルを採択した私の功績」と言い添えるところに、尋常のプライドを越えるものが感じられる。
本文中でもはっきり言っている。曽野綾子との対談の中で、戦後社会では平等の名の下に「エリートという存在は良くないものとされてしまった」と嘆く。曽野も「エリート教育は格差を助長する…私には、このことがもうひとつよく分からない」と同調している。
本書「九人との対話」では、激論を闘わすところは全くない。和気藹々たる雰囲気の中で、互いの専門分野を述べ合い、類似点を確認し合う流れになっているのは、読者としてはやや不満である。
最終章の末尾はこうだ。「家庭教育ー阿川家は大日本帝国式、藤原家は武士道精神」古いなあ、と思う。ただ、著者たちは、エリート意識で凝り固まっているのではない。
藤原家家訓「卑怯な真似をするな。弱いものいじめを見つけたら身を挺しても助けろ」(亡父、新田次郎の訓言)を大切にしているという。 日本人に激減した「アレーテー」(ギリシャ語、勇気、貢献)、陳腐になったかもしれないが「大和魂」に思いが寄せられる。
更には、前近代語「矜持」は死語か、復活語か、という感慨に耽らされる。
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