兄弟 (新潮文庫)
戦争が兄の心を壊してしまったのだろうか。そのどこか投げやり的な
生き方は異常とも思える。そんな兄に翻弄される家族。特に弟禮三が
作詞家として売れてから以降は凄まじい。普通の人間ならとっくに
縁を切ってもおかしくない状態なのに、禮三は兄をかばい続ける。
切りたくても切れない。家族とはそういうものなのかもしれないと
思う。だがついに弟が兄を見限る日が来る。そして兄の死。
「兄貴、死んでくれて本当に、本当にありがとう。」
禮三の叫びの中に、深い悲しみを見た。もし戦争がなかったら、平凡な
兄弟でいられたかもしれない。そう思うと、兄の人生が哀れでならな
かった。
危険な関係 TV ― オリジナル・サウンドトラック
ジャケ写がなんともイタズラさんですな。こんなシーンは無かったし、こんなテイストのドラマでもなかったのにね。ミスリードというやつですか。
『太陽がいっぱい』を想起させる“ID乗っ取り、なりすまし”サスペンスを軸にしつつも、人間の欲望やコンプレックスの深淵はあくまで横目で見据えた上で、基本的にはファンタジーの香るお話でした。
豊川悦司さんが自転車の背に篠原涼子さんを乗せて星月夜の街路を走る美しいシーンをご記憶のかたも多いと思います。
音楽もサスペンスフルな中に、浪漫的なきらめきとウィット、それこそ悪戯っぽいピュアネスを湛えて、犯罪モノのサントラなのにほとんど心が洗われる様な後味。M−02『Double Standard』を物語全体の主題とすれば、M−11『Perfect Nonchalence』やM−16『Shrewd Trick』などの稚気と遊び心あふれるチューンが、最もドラマの空気感をストレートに伝えていると思います。
豊川さんが笑いながら土手を転落していく印象的なEDとともに流れた、井手麻理子さんによるユーリズミックスのカヴァー『There must be an angel』が併録されていれば、★6コあげてもいいくらいの完成度の高いアルバムです。
Lie lie Lie [VHS]
バブル時期に、バブル的な企画として
指して注目されず終わった映画。
しかし、原作はあの中島らも先生。
原作に結構忠実で、役者人のキャラも
生き生きしていて実によいです。
監督も、櫻の園の中原俊さんで、
堅実な演出をしてます。
笑えて、ちょっと泣けて、
オカルトも入っていて、
こういう邦画がもっと増えると
いいなと思うのです。
DVD化がなぜかなされないのは
なぜかな。もったいない。
凄く好きな作品です。
この世の果て Vol.1 [VHS]
尾崎豊sが好きで、
彼の歌「OH MY LITLLE GIRL」が
主題歌で使われているということで、観てみました。
鈴木保奈美sのドラマを初めて、
ちゃんと観た気がしますが、
素敵な感じですね、役柄が、ということではなくて、
声とかもいいですね。
あと、豊川悦司sがカッコイイなぁって思いました★
各回の終盤は、
マリア(鈴木保奈美s)に語りかける、
シロ(三上博史s)のナレーション。
そして、その途中から「OH MY...」が流れ出すところで、
毎回のように、どうにも切なく涙・・・・・・。
個人的には、そこがこのドラマ、一番の印象ですねぇ。
実に切ないです。
観出すと結構止まらない感じで、
オススメです。気になってる方はぜひご覧ください♪
大停電の夜に スペシャル・エディション (初回限定生産) [DVD]
劇場のスチール写真そのままの、
優しい雰囲気で展開する現代の御伽噺である。
殺伐とした都市の片隅に、馴れ合いではない
人と人との暖かい心の交流が、真摯に描かれた傑作だ。
クリスマス物だからと華美に飾り立てることなく
小声や微細な表情で演技できる俳優を揃えた画面は
全編ジャズの調べとともに、仄かな灯りに照らされ
ややセンチながらも、必ずや観客の琴線に触れることだろう。
舞台の中心となるジャズバーのマスターに扮する
佇まいだけで絵になる豊川悦司と、
向かいのキャンドル屋の若きオーナーに扮する
『奇跡の人』の熱演も記憶に新しい田端智子の二人が
醸し出す独特の空気感は格別である。