レコード・コレクターズ 2010年 08月号
こういう企画に自分の好きなアーティストが入っていないと、たいていの人はがっかりすると思います。
だから、批判も多いのでしょう。ただ、やはり、私は専門家の意見はそれなりに尊重すべきだと思います。
素人のひとより、かなり多くの枚数を聞き込まれていると思うので。わたしも、70年代はちょうど中学の頃ですが、
実際聴いていたのは、小椋佳の“彷徨”とか“残された憧れ” 風、井上陽水、ユーミン、グレープそんなところ。
きっと多くの当時の日本人もそんな感じだった事でしょう。ユーミンや氷の世界以外は、ベスト100に入っていませんが、それはそれで良いと思う。
はっぴいえんど、シュガーベイブ、ジャックスなどは後の時代に再発見=評価されたのですよね。
当時聴いていた人の認識は素晴らしかったでしょうね。ライブに行けた人はラッキーでした。素直にそう思いますね。
こういう雑誌は私たちに対する“啓蒙”の意味もあるのでしょう。素敵なアーティスト、アルバムとの新しい出会いがあるかもしれない。
そういう、前向きな気持ちで読むと色々と伝わってきます。
ちなみに、この雑誌の中で、唯一ユーミンの“ひこうき雲”は当時よく聴いていました。天才少女の登場が眩かった。
“今の”私が1番好きなのは、鈴木慶一“火の玉ボーイ” はちみつぱいの“センチメンタル通り”と高田渡の“ごあいさつ”ですが、
こういう雑誌がないと巡り会えなかった逸品と思います。
NARKISSOS (初回限定盤)(DVD付)
みなさん星はたくさんつけてますが、結構辛い評価ですね……。
私は単純に楽しめました。木村カエラをフィーチャーした曲は全てお洒落なポップロックチューンで気持ちよく聴けます。
リリー・フランキーやサエキけんぞうの歌詞も都会的なユーモアに溢れていてニヤッとできますし。
何よりも演奏のノリやグルーヴ感がかっこいい。英国ロックっぽい演奏なのにリズム感は渋いブルース〜米ロックをほうふつとさせるリアルさがあるし、
それでいてそんないぶし銀系の洋風リズムが、吉田拓郎などに代表されるような日本語フォークの言語感覚に
しっかり乗っていて(この時点でも凄いんですが)曲も実にポップに仕上げてしまってます。これくらい軽いもんだよ、という感じで。
まあこのメンツならそのくらいできて当然なのかもしれませんが。
本作はこのノリが2006年の録音技術で鮮明に表現されているのが嬉しいです。こういう独特の折衷感覚を真っ先に味わえることは
日本人でよかったと思う特権のひとつですね。
サディスティックス全盛期にはまだ生まれてさえもいなかったので、リアルタイムでサディスティックスを体験できただけでも
感激でしたが、実力のほうも流石でした。DVDも和気あいあいとしたムードが感じられていいです。
サディスティック・ミカ・バンド(初回限定版 スペシャルエディション) [DVD]
サディスティックミカバンドのDVDは前から買ってあったが漸く鑑賞する機会を得た。感想は二点である。
一点目。
DVDの映像作品としての本作に関しては 他のレビュアーの方から相当の異論が出ている通り評価しにくい。コンサートのライブ性は大きく後退し メンバーのインタビューへの傾注が強い。
DVDの監督は サディスティックミカバンドを題材とした「違うの映像芸術」を作成していると考えると こういう作りもあるかとは思うので僕は否定はしない。
二点目。
やはりサディスティックミカバンドの格好良さである。
自分が中年になったから思うのかもしれないが「格好良い」という言葉は 若者ではなくて中高年に向けて使う時に 煌めきが生まれるような気がしてきている。
実際 メンバー達は 相当の年配者になっているわけだが その連中が演奏し、時に
その音楽やメンバーを語る その姿は 異様に「格好良い」と言ってよい。若い時からの過激さをいかに大事にしてきたのかが素直に伝わってくる。「前衛」という言葉があるが 常に前線部隊で戦っていることは時に疲労もするとは思うが 彼らが いかに爽やかに時代と戦ってきたのか そうして今でも戦っているのかが良く分かった。
ということで 大変元気が出たDVD鑑賞である。
ギター・ファンタジア [VHS]
名盤「サダージ」発売に伴い行われた横浜スタジアムでのライブ。スタジアムという空間ゆえサウンド面での評価があまりよくないという記事を当時読んだ記憶があるが、視覚的にはギターヘッドに取り付けたレーザー光線を夜空に照射しながらの演奏シーンなど屋外ならではの迫力さが十分感じられます。「サダージ」からは高中ギターの魅力を存分に味わえる選曲がされているし、私は終盤のReadyToFly、黒船は特に気に入っています。高中映像作品でもっともDVD化して欲しいライブです。頼むからDVDで発売して欲しい。
ジャパンツアー 1986 Y.T. [VHS]
なつかしいステージです。
今回ハリーも教授もいませんが、メンバーも豪華です。
なんといっても生きた憲司が寡黙に弾いてます。
神経症なユキヒロの動きはあいかわらずヘンですが、
矢口と越ミハルのプレイが秀逸でした。
(特にMOONLIGHT FEELS LIGHT)
「夢からさめたら」はスタジオ録音よりライブのアレンジのほうが全然よいですね。
って、再発CDに収録されてるから知ってるか。