シチリア!シチリア!スペシャル・エディション [DVD]
ムソリーニ政権下で、明らかにファシストに嫌悪感を示す住人達は、共産主義者に対しては案外寛容なんですね。長きにわたって小作人たちが搾取されてきた過去を物語るものでしょう。元々この土地の人々には政治的な関心は希薄で、ただ、家族が仲良く食卓を囲めるだけの収入を保証してくれれば思想などどうでもよいのだ。それは、ペッピーノがバーリア共産党のリーダー的な役割を果たしているにもかかわらず、家庭には一切仕事を持ちこまないことからも明白。
ペッピーノは、一生を政治に捧げているように見えるが、映画全体を覆うのは、政治色ではなく、家族愛だ。ペッピーノの、いや、シチリア人の人生観は、愛する家族と一緒に生きる日々こそが、かけがえのない幸せなのだ。
時代は更に60年代、70年代となります。その間の移ろいは街角の映画ポスターやラジオから流れる歌から推測するしかありませんが、おおむねペッピーノと家族は大過なく過ごすことに。このあたり、展開に感情のヤマが乏しくエピソードの羅列に陥ってしまいやや冗長。駆け落ちまでして一緒になったマンニーナとの恋や、戦後農民を指揮して地主と闘う姿など、いくらでもペッピーノの身辺を劇的にできたはず。それをしなかったのは、バーリアの街の物語ということなのかもしれませんが...。
本作は、主人公の子供時代から老年まで、笑いと涙で一気に駆け抜ける一大叙事詩となっています。でも、それはまるで少年時代に、お小遣い欲しさに、お使いに行って戻ってくる間の一瞬の出来事のようにも思えることのよう。というのが、冒頭とラストのエピソードをつなげて見せた演出なんでしょう。
バーリアという土地そのものが主人公のようなこの物語は、希望と絶望が混然一体となって、人間の生命力を肯定するものだ。
ジュゼッペ・トルナトーレ監督作なので、もう少し『笑いと感動』を期待したのですが、それはそれほど前面には出されておらず、その点はちょっと残念でした。
マレーナ [DVD]
ジュゼッペ・トルナトーレ監督が描く少年から大人へと成長していく苦痛と、時代に翻弄されながら生きる女性を描いた作品。モニカ・ベルッチの娼婦役の体当たりの演技は必見。何よりも少年の人妻への恋が少しコミカルなんだけど、でも純粋さがたまらない。『僕があなたを守ります』と静かに祈りを捧げるシーンは、恋をすることは人間性を成長させることに気づかされる。それが失恋に終わったとしても。少年は大人へと変わっていき、過去と決別をする。ラストシーンが好きな映画は数あるけども、特にこの映画のラストシーンは大好き。オレンジを落としたマレーナに初めて話しかけて、渡してあげたあと。自転車で後ろを振り返りながらも一心不乱にペダルをこぐシーンに被さる独白が素敵。一つの節から次の節へと男の子が成長していくときに、そこにはどんな感情が待ちかまえているのか。『あなたを見た瞬間からすべてが止まった。』イタリア映画ならではの、女性がいかに男性にとって必要で、いかに女性が美しい生き物なのかを謳い、男の子の視線で描いた作品。
どこかで聴いたクラシック クラシック・ベスト101 PARTII
ディスク6は抜粋の曲が多すぎる。だいたい6枚で101曲は無理がある。抜粋をなくして80曲くらいに減らしたほうがいい。101曲にするなら、ディスクを増やしてほしいね。コストの問題もあるんだろうけど。エイベックスは、100曲で10枚組にして、フェードイン、フェードアウトは一切ないけど、演奏がいまいちな楽団ばかり。こうしてみると、広く浅く聴いてしまいがちになる。
新人OL、社長になって会社を立て直す (青春新書プレイブックス)
明るくて元気な20代なかばの女性が主人公です。
この本を読むことで、企業の戦略とは何か?
そしてマーケティングの立案過程、作成方法が物語を通して身につきます。
この本は、主人公が経営するイタリアンレストランを
戦略的にいかにして他社との差別化を図り収益を上げていくかが、
小説仕立てのストーリーの中で描かれているビジネス書です。
ちなみにこの本の主題は 「戦略とは何か」 ですね。
私自身、大学時代に経営戦略に関するゼミに所属していましたので、
ある程度経営戦略について知っているつもりでした。
しかし、実際の経営現場で戦略を立案し、行動できるようなレベルにまで
落としこむノウハウや過程はわかっていませんでした。
そんな経営戦略の立案から行動レベルへの落としこみをわかりやすく物語調で書かれているのがこの本です。
たかだか200ページの本ですが、実際の現場ではどのよなことが行われているのかが
驚くほど安易に学べる良書ですね。久々にいい本に出会えました。
組織を経営する立場でない人でも、チームの経営、自分自身の経営、家庭の経営などなど
皆さん知らず知らず行なっているものです。「経営」 は人生の中で切っても切り離せないものです。
だからこそ、一度効果的な経営戦略について学んでみるのもいいのかもしれません。
シチリアトラットリア、至福のレシピ 〜幸せ溢れる料理教室『Cucciolo』の古門シェフとつくる簡単イタリア料理〜
おいしそうな写真とコラムからシチリアの暮らしや、
人々と修行中のシェフの交流の様子が生き生きと伝わります。
お料理本と体験記の両方のおもしろさを兼ね備えた本だと思います。
基本になる3種類のソースを素にして作ったお料理は、
家庭で作ったとは思われないくらいおいしくてビックリしました。
手順や、材料の下ごしらえも丁寧でわかりやすく、
季節に応じて、入手できる食材で置き換えてもおいしくできました。
ありふれた日本の家庭の食卓がシチリアのお家ごはんに変身します。
作って楽しく、食べておいしい至福のレシピです。
シチリアのマンマになったような気分も味わえて、
ごく普通の日本の主婦でも家でここまでできるんだと感動しました。