吉松隆作品集
小生にとって、吉松 隆の「交響曲第3番とサイバーバード協奏曲(サキソフォン協奏曲)」をおさめたシャンドス・レーベルのCDは、まさに「世界のヨシマツ」という現代の日本を代表する偉大な作曲家が、この世に存在することを認識させた1枚である。この「世界のヨシマツ」の作品を幾つか収めた【カメラータ・コンテンポラリー・アーカイヴズ】吉松 隆 作品集は、内容的に「世界のヨシマツ」を知るには、極めて不十分なCDである。ファゴット協奏曲「一角獣回路」は、吉松 隆の得意とするオーケストラ作品の作曲パターンとなっているが、彼の作曲した様々な楽器のための協奏曲において、特筆するほどの内容の作品ではない。彼の協奏曲の世界の硬・軟/強・弱を知るには、上記のシャンドス・レーベルより出ているサイバーバード協奏曲(サキソフォン協奏曲)やピアノ協奏曲(メモ・フローラ)などを聴いてみない限りほとんど不可能である。この世界をたった1枚のCDで感じさせようとする考え自体、根本的に間違っており、このCDの価値は、まだシャンドス・レーベルより出ていないファゴット協奏曲を聴くこと,DENONレーベルより出ている2枚の「プレアデス舞曲集」の抜粋とその改訂版の抜粋を聴くこと,並びに彼の邦楽楽器を用いた作品の一端に触れることなどが、挙げようと思えば挙げられるが、「世界のヨシマツ」の音楽的世界を知ることにはつながらない。【カメラータ・コンテンポラリー・アーカイヴズ】吉松 隆 作品集は、「世界のヨシマツ」を本来の意味で、音楽ファンに紹介することにもなっていない。もし、「世界のヨシマツ」を知りたいという音楽ファンがいれば、シャンドス・レーベルのオーケストラ作品集やDENONレーベルに残されたピアノ作品集を聴くべきで、それなしに「世界のヨシマツ」を知ることは不可能といえよう。
九月が永遠に続けば (新潮文庫)
この作品はホラーサスペンス大賞受賞作だが、
ホラーを求めると、評価は低くなるだろう。
逆に、サスペンスとすれば、1級の作品である。
地味だが、アガサクリスティーの「春にして君を離れ」のような
自分で自分を追い詰めていくという作品である。
文章もこなれ、キャラもきちっと立っているし、とても新人の作品とは思えない。
心理サスペンスがお好きな人には大変お薦めの一編である。
リング コンプリートBOX [DVD]
リング2がこの中では一番ヒットした作品ですが、今となってはなくてもいいかなって思います。最初のリングが怖くて面白いって評判になったのでかなり割をくった感じはありますが、らせんってかなり良い映画なんじゃないかな。呪いを科学的に描いたのが嫌だとか、怖くないとか、かなり叩かれましたが観直してみると面白い作品だと思います。死の呪いから逃れたい、死んだ子供を取り戻したい、など登場人物の恐怖心や欲求を利用して世界中に呪いをばらまく貞子の邪悪さはこっちの作品の方がよく出てたと思います。そして佐藤浩市さんや真田広之さんの抑えた芝居のおかげで本当に安心して観ていられます。中谷美紀さんが二つのキャラを演じてますが後半の悪女な感じが良い感じだと思います。
あなたのせいよ、あなたが私を抱いたから…ってセリフ言う時がなんかかっこいいなあって思いました。貞子に翻弄された人達もラストでそれぞれに新しい人生を始める事になります。愛する人を取り戻すために呪いをばらまき世界を裏切る。世界中に邪悪さと憎しみが満ちていこうとも、自分の大切な物しか見ていない、愛する人以外はどうなってもいい。これが人生を取り戻せたと言えるんだろうか? かなり暗い陰がさしているラストは高山の言うずっと先に来る安息ってなんだ?って思ってしまうと同時にこれから破滅していこうする世界を予感させるカッコいいラストだと思いました。
彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)
読み終えて、しばらく放心状態が続きました。ラストは、衝撃的です。
嫌悪感、軽蔑、怒り、怖さの果てに、どうしようもなく深い愛と光、優しさ、切なさが襲ってきます。読み始めたら、最後まで一気に読んでください。でも、途中でラストを読んじゃダメですよ。こんなに様々な感情を一冊で感じられ、振り回されたのは初めてです。凄い本ですね。
関八州勢揃い [DVD]
勧善懲悪劇に徹しているのは、この頃の娯楽時代劇らしくむしろ潔く感じます。
大前田栄五郎に扮する大河内伝次郎は、この頃にはもう貫禄たっぷりに大親分を演じています。
しかし、若き頃のエネルギッシュで破天荒な演技が好きな自分には、この完全無欠の大人物像には、聊か物足りなさを感じずにはいられませんでした。
若き日の血気盛んな田舎やくざである、国定忠治を演ずる舟橋元を楽しみに観ていた自分でした。このキャラクターはなかなかです。
でも次々に現れる浪曲ファンにはお馴染みの親分衆には、さすがに胸躍る気分にさせられるのは事実です。