古本暮らし
こういう閑文字みたいな本は、たいていが共感できないのだが、本書は例外。
原色の街・驟雨 (新潮文庫)
とても昭和20年代に書かれたとは思えない時代を感じ娼婦との揺らぐ人間関係を描いた「驟雨」をおもしろく
読んだ。
身につまされる思いがする。娼婦だったときには心を探
ることなく、他愛のない会話を繰り返すのだけれども、
相手への思いが次第に募り、一人の娼婦が「固有名詞」を
持つにいたる。
増していく探りを入れるような会話、相手を思う心。
それにつれて、生じてくる嫉妬心とそれに抗う自我。
主人公の繊細な心の動き、映像が目の前に浮かんでくるよ
うな風景描写に心を打たれる。
現代語訳 好色五人女 (河出文庫)
志賀直哉の「暗夜行路」に書かれ、志賀自身感服する程の、情景描写、人間心理の洞察が鋭く徹底しているのです。それだけに読み進めることが骨折り。しかし、損はしないでしょう。ところで、私は読んだことがございません。