虹色の航跡―日本女性初のヘリコプタープロ操縦士・岳ユミ子の35年
日本初の女性プロ・ヘリパイロット、岳ユミ子さん。彼女は1990年3月23日に乗機が十和田湖に墜落して亡くなりました。本書は、ユミ子さんの姉、マチ子さんがまとめた追悼集です。
ユミ子さんの生涯を、お父さんによる回想、友人たちからのメッセージで追いかけます。末っ子の女の子が、どのように空に魅せられ、またヘリパイロットという女性として例のない職業を目指すに至ったかが、周囲の人々のあたたかい視線で描かれている、アットホームなヘリ版「雲のじゅうたん」です。
航空写真撮影や、農薬散布など、民間ヘリパイロットの仕事についても触れられており、墜落死という悲しい結末がなければ、興味深い空のレポートになっただろうなあと切に感じます。
たくさんの女性パイロットや整備士がうまれていますが、先人のチャレンジ精神や勇気を忘れずにいたいものです。本書に紹介されている彼女の言葉とともに…。
「空に魅せられてしまったら、もう下りることはできません」
沖国大がアメリカに占領された日―8・13米軍ヘリ墜落事件から見えてきた沖縄/日本の縮図
沖縄以外の人間は日ごろ沖縄に関心がない。沖縄のは観光は好きだが、基地とか言うと避けたくなるのが実情だろう。
そんな人は小林よしのりの「ゴーマニズム宣言 沖縄論」を読んでから、この本を併せて読むといいと思う。読みやすいし、短くまとまっているので、より具体的に沖縄が浮かび上がってくる。全般にいい書き手がそろっているが、特に編者黒澤亜里子の文学論はよかった。
断っておくが、この本は、事故のドキュメントだけじゃない。ドキュメントだけなら、こんなたくさんの執筆者もいらないだろう。最初は、何故、ベルリンやアジア、長崎や広島、歴史、考古学や文学、などが関係あるのか分からなかったが、読むと編者の意図がよくわかる。沖縄って、全てのジャンルに関係のある要所であることがよくわかった。
逆に小林よしのりが、どうしてこんなに多岐にまたがった範囲で沖縄論を書いたのか不思議に思う人は逆にこの本の方が分かりやすいと思う。日本に不安を感じる人も読んでみて下さい。おすすめします。