戦場のメリークリスマス [DVD]
始めて見たときは、あのタイトルバックの音楽で一気に引きずり込まれ、今までこんなに泣いたことがないと言うほど泣きまくってエンドロール。この映画がなければ、今の巨匠北野は存在しなかった!
とにかく彼らの共通点は兵士であるということだけだったんですね。
そこに個人の感情は存在しないんです。だから敵国の将のローレンスに対しても、ハラは、憎しみと言うよりある意味尊敬の念を抱いている。でも戦時下ではそんなことに何の意味もない。
それが、セリアズの存在により、かき回されていく。優れた腕と美貌を持った兵士、セリアズ。(ディヴィットが若けりゃ文句は無かったのに!!ここがホモセクシャルだと言われる所以ですが、そんなに簡単な話じゃない!)俘虜収容所の所長のヨノイは、ハラと違って教養もあり、戦争に死に場所を求める生粋の軍人だけど、彼もまた、セリアズに対して尊敬の念を抱く訳です。
でも、『ジャック・セリアズ』とは、じつはただのきっかけにすぎなくて、彼らはお互いの心に感情という『種』を蒔き合うことになる。
例えそれが実を結ばない種であっても、お互いが兵士である前に人間同士であることに気づく瞬間があるわけです。しかし、残酷なことにお互いを理解しあう時間さえも戦争は奪っていくのです。
その、やるせなさ。たけしさんの最後の笑顔がすべてを物語っています。
身体で考える。
最近つくづく頭(正確に言えば情報による不安)でしか考えてないな・・
と危機感を持っています。体調も気分もモヤモヤしているし。
そこにこのタイトル!
お二人とも名前は存じておりましたが、著書を読んだことはありませんでした。
助走無しの濃い話で「ついて行けない」と思ったり
達人過ぎるレベルの高い話に眉唾ながら憧れたりと
身体で考える人達の輪郭の濃さ、確実さを感じました。
もっと身体のセンサーをセンシティブにしていこう!
そう決意しました。
最後に「頭も身体の一部です」と書かれていました。
「やられた!」です。
そう、頭も大切ですね。
器の大きな両者のせいか読後不思議と爽やか、晴れやかな気持ちになり
「くよくよしたってしょうがない。なんとかやっていくかーー!」
と元気になります。
それがこの本の一番の醍醐味と思います。
風都市伝説―1970年代の街とロックの記憶から (CDジャーナルムック)
「風都市」とは、70年代前半に東京・渋谷の一角から始まったロックの音楽ブランドのことです。本書は、「風都市」が日本に新しいロックの風、日本語ロックの風を吹かせたものの、でも、音楽的な理想を追うばかりで、経営的な面がネックとなって崩壊するまでを、編集者担当による必要最低限の解説と、音楽アーティスト、音楽関係者による176の証言を通じて記述したドキュメントです。
ぼく自身は本を読むまで興味がなかったのですが、はっぴいえんど、はちみつぱい、キャラメル・ママ、あがた森魚、吉田美奈子、荒井由実、シュガー・ベイブをリアルタイムで聴いた方々にはたまらない内容でしょう。ただ、読後に関連CDを買い集めたくなるのが唯一の難点です。
ぼくのように彼ら・彼女らのことを知らない方々でも、世の中には目立たなくても、でも、たしかに後世に残る仕事をした人はたくさんいるのだなあ、と切なくても、ぬくもりを感じることができます。過去のロック、ポップスについてただのノスタルジーを表現することに終わらず、現在のロック、ポップスへと続く地下水脈となったロック、ポップスをたどる作業であるがゆえに、この価値ある作業に取り組んでいただいた編集部・編集協力の方々には、「本当にありがとう」と心から感謝のことばを贈りたいです。