1000の小説とバックベアード (新潮文庫)
著者にとってはあまり褒め言葉にはならないかもしれないが、さくっと読める。内容がことさら軽いというわけでもないと思うのだが、文章が読みすすめやすい。ふだん私はあまりさくっと読めるようなものは読まないし面白いと思わないのだが、そんな私にもこの本はテーマもストーリーも読み応えがあって面白かった。テーマが著者にとって切実なものであることが伝わるので、ある種のエンタメ作品を読んでいるときにふっと感じる「どーでもいいよ、このお話」みたいなものも感じることなく、著者の熱気に促されるようにして真剣に読めた。高橋源一郎が絶賛していたが、高橋源一郎が「教養」がありすぎて出したくても出せない軽さがあるなと思う。
水没ピアノ 鏡創士がひきもどす犯罪 (講談社文庫)
主人公(?)がとてもダメ人間。
それにすんごく感情移入できてしまう私もダメ人間ですかね。
あんまり年変わらないのに女子高生やら
若いにーちゃんの視線が恐いとか。
服装を気にしないのは裏を返せば
どんなおしゃれな服を着ても恥ずかしいということだ、とか。
お話は、救いがない。
なのにある意味最初から救われています。
そこがどんでん返しというか。
私はしっかり騙されてました。
読む人を選ぶ本ですが、私はとても面白かった。