日本語とアルタイ諸語―日本語の系統を探る
内容は良いらしい。若干刊行年が古いし、筆者の自己弁護が目立つし、判り易さよりも他学者の論文との対照が優先されていることを我慢すれば、しっかりした高度な内容と思われる。アルタイ語の中での日本語の位置づけが体系的に示されている。
ただ翻訳がひどい。ロクに原書を読んだ経験のない普通の学生に分担翻訳させるとこうなるという典型例のように思われる。どうせなら原書を読んだ方が判り易いであろう。
アルタイのカイ
アルタイにはカイという喉歌がある。
喉歌というと、モンゴルのホーミーなどが有名だが、アルタイのカイは
喉歌自体が癒しそのものなのではないかと感じる。アルタイの人々が
大切に守ってきたアルタイの歴史が、このカイにはこめられている。
ボロット・バイルシェフはアルタイのスーパースターであり、彼のカイ
は聞く者を一瞬にアルタイの大地にいざなってくれる。それは至福の時
であり、癒しの音というのはこういうものなのではないかと、しみじみ
と感じさせてくれるものである。
アルタイと日本はどこかで繋がっていて、日本人なのに心の隙間にどん
どん染み込んでくるこの音は、日本人が忘れてしまっていて、どこかで
求めているものなのかもしれない。