ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート (MF文庫J)
女性作家の文章に憧れた男性が書いた小説だと思いました。
新井素子や清水マリコに憧れて書いたが、出来上がった作品は中村九郎の作品に似た、って感じです。
ロクメンダイスほどではありませんが、かなり似た読みにくさがあります。
私はそういう作品嫌いではないので星3つ付けましたが、多分そういうのが嫌いな人はレビューすら書くのが億劫になる作品だと思います。
女子高生なのに思考の例えにやたら野球が出てくるのも作者が野球好きだからでしょう。
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」&第7番
12月に彼らの初来日コンサートがあった。私は聴きに行き,そして立ち上がって拍手する客席を見た。日本でスタンディングオベーションを見ることなど先ずない。ベネスエラの新聞では,共演したアルゲリッチが事前に「日本人は座って拍手する」と伝えていたことが良い意味で裏切られたとニュースになっていた。二日目の公演で1曲目が終わった時に真っ先に立って拍手したのは小澤征爾だった。このCDはウソではありません。本当に彼らの演奏には勢いがあります。ノリはラテンそのものです。それでいてピアニシモを大事にします。それが他のオケには内最大の魅力だし,興奮を呼ぶのです。
革命のベネズエラ紀行
南米左派勢力のリーダー的地位を確立し、アメリカに対して強い敵対心を持つウーゴ・チャベスとベネズエラについて歴史を中心に、なぜ社会主義に傾倒していくのかを余すところなくかつ簡潔に述べられている。
ジニ係数上ではまだまだ格差社会とは言えない日本ですが、今よりも格差社会化が進展すればチャベスのようなリーダーが求められる可能性はなくもないでしょう。
近年の中国はエネルギー外交に積極的で、チャベスは中国への訪問を果たし、またチャベス自身が毛沢東を尊敬していることなどから両国の関係を緊密化しています。
ベネズエラの豊富な石油および南米でのリーダー的地位を活用した外交面での中心的役割を近い将来担う存在となることは間違いないでしょう。
近隣諸国(中国、ロシア、韓国など)との外交関係を整理するためには、それら国々との関係が緊密がどこなのかを十分認識する必要があり、そのキープレイヤーに当たるのがベネズエラなのかも(ベネズエラと中国が接近すれば、アメリカと中国の緊張関係が生まれる可能性あり)。
「地球の反対側の国なんて関係ないよ!」と思わず、小難しくなく簡潔に書かれているので是非手に取ってみては。
ベネズエラ・サバイバル [DVD]
舞台はベネズエラの首都カラカス。裕福な家庭に育った若いカップルのカルラとマルティンはある日の未明、突然見ず知らずの男たちに誘拐されてしまう。それぞれの両親に身代金を要求した犯人たちは、二人を車で連れまわし続ける。やがてマルティンの秘密が明らかになり、事態は思わぬ方向へと進んでいく…。
日常茶飯事ともいえるほど頻発する中南米の誘拐事件。私も5年前にカラカスへ出張した際には、無闇に出歩くなと現地の邦人社会の人々に注意されたものです。二人の若い男女を連れまわして車を疾駆させる犯人たちの背景に、確かにあのとき見た市内の景色を懐かしく見つけました。
Secuestro Express(超特急の誘拐)という原題が示すように、映画はほんの数時間しか費やさないあっという間の誘拐事件を描いていますから、予想したほどには物語の起伏がなく、淡々と描いているという印象を持ちました。そこがむしろ現実味があるといえるのでしょうか、この映画はベネズエラでは記録的なヒットを飛ばし、海外マーケットでも高く評価されたそうです。
経済格差が日本人の想像を超えるほどに進み、クーデター騒動すら珍しくないベネズエラにあって、犯人たちはカルラに貧困層と有産階級との対立の構図の中でこの誘拐事件を説こうとします。それがベネズエラの多くの観客の共感を得る程度のものなのか、それとも詭弁に過ぎないといえるものなのか、私には正直言って分かりません。
翻って思うに、貧困を殺人や誘拐の口実にすることに正当性を帯びることがない社会に暮らしてはいないことを感謝したい、そんな気分にさせられる映画でした。