メンバーズ・オンリー
1985年、メジャーABCからミシシッピはMalacoレーベルに移っての第一弾であり、グレイテスト・ブルース・シンガー、ボビー・ブランドの多くのアルバムの中でも最重要の一枚だ。
85年当時、すでに三十数年のキャリアを積んでいるブランド。彼の歌の力は、聴く者を優しく温かく包み込み、またパワフルなシャウトでソウルを熱くさせてくれる。傑作バラードのタイトル曲からハードなブルースまで。とにかく深く優しい歌を聴かせてくれる。80年代のソウル/ブルースの宝だ。黒人音楽好きではなくても一家に一枚!といいたい!
Greatest Hits 1
ブルース・シンガーの頂点、ボビー・ブランドのDuke/Peacock時代ベスト選16曲。1952年から二十年近くの間、150曲以上は吹き込んだと思われるこのレーベルへの作品は傑作がかなり多く、とても16曲に絞るなど不可能な話だ。しかしこういったお手頃価格の一枚ディスク・ベスト盤は入門編として歓迎である。1957年から69年までの代表的有名曲は一応網羅されている。しかし、ここから洩れた傑作はまだまだ数多い。1曲目を飾る傑作Farther Up The Road以前の作品は含まれておらず、I Smell Trouble, It`s My Life Baby, Little Boy Blueなどなど初期のハード・ブルースの絶品を聴かずにはいられない。他にもLast Night, I Don`t Believe, Aint Doin` Too Bad, Save Your Love For Meなどなど、隠れた名曲名唱を挙げるとキリがないのだ。
Mr.ブランドはDuke時代に、筆者の知る限り6枚のオリジナル・アルバム「Here`s The Man」「Two Steps From The Blues」「Call On Me」「Ain`t Nothing You Can Do」「The Soul Of The Man」「Touch Of The Blues」を発表しており、これらは1990年頃、Pヴァインより2in1で3枚のCDになりリリースされたがとっくに廃盤。音源の権利を持つMCAは色々なベスト盤を組んでいるようだが、オリジナルLPのストレートCD化はこれらの内「Two Steps~」のみ。コンプリート集として時代順に2枚組を3セット・リリースして黒人音楽愛好家達を狂喜させたが、それらもあっという間に市場から消えてしまい現在入手困難な状況だ。
アメリカが、ブルースが生んだ最高のスタイリスト。温かく包み込んでくれる優しさとハードなゴスペル・シャウト。これが本物の「歌の力」である。ザ・グレイテストの初期の超有名曲16は基本中の基本だ。
Two Steps from the Blues
まずジャケットがかっこいい。サングラスをかけて巨体をテキサスのどっかの店の階段に片足かけているボビー。アルバムタイトルを捩っていて笑えます。ボビー・ブランドのデュークレコードでのアルバム第1弾、かつゴスペル・ブルーズの名作。
アルバムタイトル(1)は鼻歌交じりのバラードでかってブルーズファンには"200 steps from the blues"とくさされた曲。私はもともと大好きな曲。暗い暗い暗くわなくて、後半猛然とシャウトする(2)、さびの部分のブルーノートを絡めた歌いっぷりがさすがの(3)、アップのR&B(4)、ソリッドなリズムに乗って独自のゴスペルブルーズを展開する(6)、からっとしたR&Bで、彼のニックネームでもある(8)、これらはたまりませんーっ。朗々と歌うバラードの(5)だって、(9)だってボビーの声は最高。しびれる。
そして、本アルバムでは一番古い方の録音となる(11)。そう、ブルーズファンなら誰でも知ってる、マジック・サムでも有名な曲。サムはこの曲をギターの間奏まで含めて殆どコピーしている。名ギタリスト、クラレンス・ハラマンの炸裂するテキサス・ギターをバックに「ああだ、こうだいう女はいらねえやい」と吼えるボビーは、やっぱ、ブルーズマンやね。