オペラ座の怪人 [Blu-ray]
「オペラ座の怪人」を最初に観たのは1925年のR・チャニー版。ホラーの中にもユーモアがあって、後味の残るサイレントだった。2回目はマンハッタン・マジェスティック劇場での本作オリジナル版。震えが来るほどの素晴らしさであり、カーテンコールで舞台奥行きから飛び出してくるクリスティーヌに対する拍手喝采はいつまでも鳴りやまなかった。そんなブロードウェイ版の映画化である。映画館で観るチャンスはなかったが、DVDの高画質でしばらくは堪能していた。ブルーレイは特典映像が付いていないことが分かったので、ちょっと買い替えに躊躇していたが、ここでのレビューを観て決断した(笑)。本ソフトのクォリティは別格である。HDが綺麗なのは当然だが、アンドリュー・ロイド・ウェーバーが描いた世界観が丸ごと収められている、という感じだ。特にマスカレードのシーンなどはパンフォーカスで撮っており、奥行き感が抜群。3Dかと思うくらいの見事さである。それから配色も全編に渡り素晴らしい。このあたりDVDでは辛かったところだが、HD収録でJ・シュマッカー監督の意図通りの絵になっていると思う。派手なアクション映画に於いて、ブルーレイの音と絵は特に際立つが、ブロードウェイミュージカルもまた然りだ。とにかく「超絶」のソフトなので、本作が好きな方はぜひブルーレイで観て欲しい。ジェラルド・バトラー&エイミー・ロッサムの掛け合いも実際の「生声」であり、こちらもお聴き逃しなく。星は何の疑念もなく5つです。
オペラ座の怪人 Blu-ray コレクターズ・エディション(2枚組)【初回限定生産】
最近は原語版に飽きて、テレビ放映をBlue-rayに録画した日本語吹き替え版でばかり観ています。 画面がビスタ・サイズなのが難点ですが、個人的には台詞も歌も劇団四季版のほうが好みですね。 元来、フランスやドイツでは吹き替え版で劇場公開されたそうですから、原語版に固執する必要は無いと思います。 折角だから値段が高くなっても英仏独日語版収録する位の贅沢が欲しかったです。 特典ディスクで、少しですが2004年9月収録の舞台映像が見られます。 25周年記念公演で怪人役を演じたラミン・カリムーがここではラウルを演じています。 カメラ・ワークもカット割りも本格的なので、全編収録して一部だけDVD特典に使用し、全部の費用を映画版DVD制作の経費で落とし、あとは非公開で保持しているのでは、と疑っています。 どっちみち舞台上演版の全編公開は当分無理とは思いますが、今回のBlue-ray化でDVD版より画質が向上しているかが唯一の見どころです。
オペラ座の怪人 スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]
いろいろな意味で、非常に優れたミュージカル作品だと思う。
まず、内容面だが、ガストン・ルルーの原作を下敷きに、普遍的なテーマを斬新なスタイルで描いていることにあると思う。優しく、必ず幸せにしてくれるであろう男性と、危険で一緒にいても不幸になりそうな男性(このことは、私の一番好きなナンバーAll I Ask of You において、それぞれの男性がChristineに歌いかける科白が、 Raoulのそれが “Let me lead you from your solitude” であるのに対して、Phantom のは、“Lead me, save me from my solitude”であることに象徴されている)との間で揺れる女性というのは、源氏物語の浮舟と匂宮・薫大将の三角関係にも遡れる普遍的なテーマである。(そういえば、劇中最も美しいシーンであるPhantomがchristineを船に乗せ、地下水路をこぎ行くシーンは、匂宮が浮舟を舟に乗せて連れ出すシーンと似ている)
また、ChristineはPhantomに亡父の面影を投影しているので、これも古典的なエレクトラ・コンプレックスから説明できよう。
孤児である彼女の孤独とPhantomの孤独が共鳴しあって惹かれ合ったということも説得力をもって伝わってくる。
そして、これがミュージカルの場合、非常に重要な点なのだが、ミュージカルという形式の利点を十二分に生かしていることである。
ミュージカルには、「どうしてそこで急に歌い出すのか?」という根本的な不自然さが常に付きまとう(三谷幸喜の『オケピ!』にもそういう科白があるし、タモリもだからミュージカルは嫌いだと公言している)が、この作品では、舞台がオペラ座であり、主人公はPhantomと歌の指導を通じて心を通わせるという設定だから、歌うことはむしろ必然である。
さらに、作曲家が愛する女性の歌をプロデュースして成功させるというストーリーは、現実のA ウェバーと、劇場版初演当時の妻でchristine役のサラ・ブライトマン(後に離婚)の関係とも完全に重なっている。(日本でもTKと華原朋美がそのような関係だった)
そしてまた、劇中歌も、絶妙に物語とリンクしている。
RaoulがChristineを幼馴染と気づく場面で彼女が歌っているアリアThink of Meは”We never said our love was evergreen, or as unchanging as the sea, but please promise me, that sometimes, you will think of me!”となっており、その直後の再会のシーンで、Raoulは、子供のころ、彼女の赤いスカーフを拾うために海に入ってずぶぬれになった思い出を語る。
また、Phantomの、天才的な才能を持ちながら社会から隔絶された孤独感も、彼が作曲したという設定の音楽の素晴らしさとのコントラストで効果的に描かれている。これは、映画版『砂の器』(TV版は噴飯物)にも共通する。
Masqueradeはまさに、仮面の下に孤独を隠すPhantomの生き様そのもの、そして、劇の最後のフレーズは、”Hide your face, so the world will never find you”である!
劇場版との比較では、まず、プロローグの終わりにシャンデリアのベールが解かれるところで、シャンデリアの光が当たったところから、モノクロの画面がカラーの19世紀末の輝かしいオペラ座の場面に変わっていくという、映画ならではの演出がすばらしい。
また、劇場版では、Phantomにやられっぱなしでどちらかというと情けないRaoulが、映画版では仮面舞踏会の後でも決闘しようと剣を抜いたり、墓場のシーンでは、Phantomと戦って実際にねじ伏せるところまでいっている点で、優しいだけでなく、強く勇敢な理想的な男性という面が強調されている。
また、映画版では最後にRaoulが競り落とした猿のオルゴールを妻だったChristineの墓に供えると、そこにPhantomのバラが置かれているという場面が付け加えられている。
ひとつ、映画版の方がリアリティを欠くのは、マダム・ジリーがPhantomが見世物小屋から逃亡するのを助けたという設定だ。劇場版ですら、娘のMEGが、朋輩の出世に全く嫉妬しないのが、不自然なのだが、映画では、さらにその母親が恩人なわけだから、「なぜ私の娘にこそ個人指導してくれない?」ということになりはしないか?この親子はお人よし過ぎないか、と思うのは私の性格がひねすぎているから?
Phantomの救いのない孤独な魂、最後のシーンは、涙が止まらなくなった。
ラブ・アクシデント [DVD]
話のはじめのほうは、
なんとなく、状況設定の説明っぽさに、
少々うんざりもしたが、
キャラクターが確定してからは、
どんどん面白くなって、
最後にはすっかりはまりこんでしまった。
ちょっと大人のラブストーリーだが、
特典映像にある、本来の結末と、
公開された結末が全く違うのが、
とても面白い。
当初の結末に、
おおいなる不満をいただいた監督が、
脚本をすっかり変更して書き直したのだ。
当初版をみながら、キャストとともに、
それをあげつらうこの特典映像は、
ほかの作品ではなかなか見られないものだ。
個人的には、
エミー・ロッサムの歌も聴きたかった。