蟲師 第ニ集 (初回限定特装版) [DVD]
やさしくて、それでいて残酷であるようで…。それを、蟲師であるギンコが繋ぐ世界。きれいな映像の中で、話もひとつひとつが観おわった後に余韻が残り、勇気を貰えるような。そんな作品だと思います。二集の中で『海境より』は、私の好きな話のひとつなので、是非お薦めしたいです。
蟲師 初回限定特装版 第四集 [DVD]
第十五話「春と嘯く」から地上波最終回「筆の海」までを収録した限定版の第四集。冒頭の「春〜」における雪中の春景色もそうだが、この作品はとにかく「色」が印象的。近年のアニメ作品にありがちな、いかにもデジタル彩色的なそれではなく、日本画のような伝統的美しさを感じさせる。数あるエピソードから厳選されているため話も粒がそろい、また最後に救いのある話が多いため、見ていて温かい気持ちになれる。
見所は数多いが、特に「筆の海」における蟲の表現は白眉。原作を読んだ時点である程度は想像できたにせよ、実際に動くシーンは迫力十分。作品中随一の魅力あるキャラクター(小林愛さん、京田尚子さんもイメージにぴったりです)とストーリーも相俟って、地上波の最終回に選ばれたのも頷ける。
とにかく欠点が見当たらないほどの近年稀に見る傑作アニメです。
未見のかたは是非ご覧になってください。
TVアニメ「蟲師」オープニングテーマ「The Sore Feet Song」
オープニングと第一話で使用されていた曲だけではありますが、
蟲師アニメの、柔らかくて仄暗いような、そんな独特な世界観を
堪能できる曲だと思います。
サントラ、待ち遠しい。
水域(上) (アフタヌーンKC)
雨が降らない現実の街と、雨が降り続ける夢の中の村。
残してきた想いと、今なお抱き続ける想い。
現在と、過去。
相変わらず、こういうキーワードのもとで作品を描いたら一級レベルの作者さんですね。
登場人物の描き分けについては、全面的な擁護はし難いものの、個人的には読むのに不都合を感じるレベルではありませんでした。
また確かに、さほど重要とは思われない描写やエピソード、設定が散見され、物語展開に若干の間延び感があるようには思います。
例えば下巻のストーリーが発揮すべき危機感や切迫感が、例えば物語の核心が明らかになる際の謎解きの興奮が、読者に(少なくとも私には)あまり感じられなかったのはここに起因するのではないでしょうか。
ただし、こういう一見無駄に思えるような描写や時間を敢えて組み込んだ描き方によって、水の中から水上の景色を眺めた時のような、「境界のはっきりしない、ボンヤリとした不思議な世界観」を作れたとも言えます。
この物語のテーマとしては、そちらの方がはるかに重要なことのように私には思えるのです。
蟲師 第一集 (初回限定特装版) [DVD]
原作も仄暗い独特の魅力を持つ名作で、他では味わえない世界を魅せてくれますが、
このアニメは原作に忠実に、かつ大変丁寧に、更にその世界を磨き上げてくれています。
背景、光の効果、音楽、丁寧で柔らかい人物の動作、台詞廻し、
「蟲」という見た事のないものの動き、どれ丁寧すぎて一度で鑑賞しきれないくらい。
何度観ても発見があり、驚きがあります。
スタッフの方の、芸術作品として誇れるものを創ろうという気概の伺える名作。
1話毎に「テーマカラー」があるようです。
それに合わせて本当に細かく色合いが調整されているので、どこで一時停止しても
絵画として成立してしまいそう。
普段はよろず原作主義で、映像化作品に不満の多い私ですが、
これには文句のつけようがありません。
1話「緑の器」濃くて鮮やかな緑。杯がふわり、と浮き上がる様の描写が素晴らしい。
2話「瞼の光」暗さのありとあらゆる表現。月の光の仄青い色合い。
瞼の裏の「チカチカ」の描写が、イメージそのままでした。
子供の頃、初めて昔話を読んだ時の怖さ、美しさ、不可思議さ、
圧倒的な世界の広がりを、再体験したような気分になりました。