三国志 (1) (吉川英治歴史時代文庫 33)
三国志は、様々な人が書いていますが、最初に三国志を読む場合には、この吉川三国志が最適だと思います。その理由は、以下の通りです。
1)三国志演義をベースに描いていること
→正直、「正史」を土台に描いた小説は、ストーリーが面白くありません。また、三国志を語る場合、何だかんだで「三国志演義」がベースとなるため、基礎知識を得る上では、「三国志演義」をベースとする書籍を読むべきでしょう。
2)三国志演義をベースとしつつ、歴史的事実を反映させていること
→「三国志演義」と最も記述の異なる箇所は、やはり曹操に関する部分でしょう。「三国志演義」では、悪役として非道ぶりを発揮している曹操ですが、吉川三国志では、曹操のよい側面も取り上げ、なぜ「魏」という大国を作り上げることができたのか、理解できる内容になっています。
3)日本における三国志の原点といえるような書籍であること
→吉川氏以前にも、三国志を書いた人はいるかもしれませんが、一般的には、吉川三国志が日本における三国志の歴史的橋頭堡といえる存在でしょう。つまり、吉川氏以降に三国志を書いた日本人は、多かれ少なかれ、吉川三国志の影響を受けているはずです。
宮本武蔵 全8冊 吉川英治歴史時代文庫
漫画バガボンドの原作として有名だが、細かい設定で若干違いも見受けられる。
こちらを読んでしまっても漫画は漫画で楽しめるだろう。
むしろこちらを読み終えてから、バガボンドを見る事で、井上雄彦氏がどう肉付けしてくるのかといった点も楽しみになると思う。
もちろん原作として、読み終えてからの満足感 武蔵と同調して得る達成感。
吉川英治作品の醍醐味を存分に楽しめる作品だと思う。
ムサシ特別版 [Blu-ray]
かたや演劇界の若き表現者藤原竜也そして小栗 旬のコンビである。
おもしろくないわけは無い。
原作吉川英治である。
埼玉のすばらしい作品を魅せて頂いた。
藤原という俳優は怖い、総てにパーフェクトをだしつづけているようだ。
それに対する小栗も一方ならぬ苦労をしている。
その上にあの舞台ができたといえよう。
この良質ワインは今Blu-ray DISC DVD 2枚組みになってより熟成され
私達演劇ファンの手に帰ってくる。
音楽もまた素晴らしい 宮川 彬良にも拍手を送りたい
ゼヒこの作品をごらんになってください。体裁はシンプルです。
推薦いたします。
新・平家物語(一) (吉川英治歴史時代文庫)
平家の物語を断片的にしか知らなかった私にとって、すべての出来事が線でつながり、立体となり、永遠に忘れられない物語となりました。
作者の格調高い香をたきこめたような文体が全編を被い、平家の雅な姿を目の前にしているような心地でした。
平家が悪者のように、源氏が美しい勝者のように勝手に思っていたのですが、これは後の歴史観がそうさせたものであり、ある人がそう伝えただけのことなのだと思います。生きた人々が完全な悪でもなく、また善だけの存在ではないことを改めて感じました。
また、時代に生きる市井の人々の表舞台の人物とは立場の違う哀しさも均しく描かれており、感慨深いものがあります。
全16巻を読み終えたときに、「ああもっと読み続けたい」と思いました。
NHK大河ドラマ総集編DVDシリーズ 新・平家物語
NHK大河ドラマ第10作となる「新・平家物語」。
リアルタイムで放送された頃は,私はまだ生まれたばかりだったので,当然,視聴する機会はなかった。
その後,古典平家の世界に感銘を受け,吉川英治の原作も読んでいたので,総集編とは言え,すんなりストーリーが理解できた。
主役の清盛を演じる仲代達矢の演技が素晴らしい。目配せ,語調,所作の隅々に至るまで,多情多感な清盛を見事に演じきっている。最後に福原を去るときの,「人間どもこそうたかたよ。」と嘆く言葉に,栄枯盛衰のはかなさを感じる。
他の役者陣も,見事と言うほかはない。中村勘三郎の忠盛,山崎努の時忠,古谷一行の経盛,山本学の頼盛,原田大二郎の重盛,緒形拳の阿部麻鳥,小沢栄太郎の信西入道,藤田まことの朱鼻ノ伴朴,田村正和の崇徳上皇,芦田伸介の源三位頼政,林与一の義仲,高橋幸治の頼朝,滝沢修の後白河法皇・・・もう,枚挙に暇がないほどの豪華キャストで,巧みの技の如き名演技を競い,平安の王朝絵巻を再現して,我々を魅了する。
この,歴代の大河でも1,2を争うであろう名作が完全に映像が保存されていないのは,何とも残念なことである。
しかし,総集編でも,この作品の一端でも鑑賞することができるのを良しとせねばなるまい。
権力の魔力に獲りつかれた人々の,うつろいやすい心と,権力のはかなさ,もろさ,そして,それでも権力に執着する人間という生き物の愚かしさを知る名作である。