暁の脱走 [DVD]
田村泰次郎の原作『春婦伝』はもともと李香蘭を念頭において書かれたそうで、ぴったりの配役になってます。
GHQの検閲のため、原作では従軍慰安婦の春美は従軍歌手に変えられていますが、すべてを捨てて命がけの恋に生きようとする女が生き生きと描かれます。山口淑子が大熱演で、女優としてのステップアップを果たしたといえましょう。
極限状況での激しい人間関係は今見ても印象的で、心に強く訴えるものがあります。
若い人 [DVD]
1952年の東宝作品で、比較的初期の市川崑監督作品。映画自体というよりソフトの中味が問題である。まず東宝マークがカットされ、芥川也寸志の音楽が唐突に始まる。また画質が悪くたいへん鑑賞しづらい。資料には114分の長さが示されているが、本DVDは73分となっている。この辺も説明が欲しいところである。
早春 [VHS]
この作品は異色である。内容を端的に言えば、夫の浮気に妻が気づき、夫婦仲が壊れ、二人でやり直すというもの。きれいな奥さんをもらっておきながら、何てことするんだ!と正直思った。しかし夫婦とは何か?と考えさせてくれる作品である。また当時のサラリーマンの描写も、現代と比較できて面白い。しかし通勤電車でいつも顔を合わせる人たちとハイキングに行く場面は現代では考えられない、ちょっとうらやましいシーン。当時から通勤電車は地獄だったのは面白い。
窓を開けると (文春文庫)
数ページ程度のエッセイ集で
どこからでも読める内容だと思います。
で、
題材にしろ
登場人物にしろ
高齢者の内容が多い、、、。
正直、若い人が読んでも
(おじいちゃん、おばあちゃんに親しみを持っている人でなければ)
あまり受けつけない内容なのかもしれません。
でも
いつかは自分もこんなふうになる、と思うと
自分が今人生の真っ只中にいることを
客観的に見れる気がして
とても不思議な気分になるのです、、、。
ブンガワンソロ [DVD]
DVDのパッケージには「92分」と表記され、ネット上では「日本映画データベース」でも92分となっているが、実際の収録時間は約84分。
東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵プリントは84分らしいので、上映時間も84分が正しいと思われる。
他の方のレビューにあるとおり、傷の多いプリントから手間をかけずにDVD化されているため、画質はあまり良くない。
音声トラックが擦り切れているのか音質も今ひとつで、セリフの音量が低く、やや聞き取りにくい。
内容的には、よくある大戦末期の悲恋物で、いかにも新東宝テイストに染められており、市川崑監督らしさはどこにも無い。
低予算・短期間で撮了するためか、かなり大胆なマットアート合成で、ロケーション不足をカバーしている。
しかし、今改めて観ると、主人公たちの境遇の描写には水木しげるの戦記マンガなどに近い哀愁が感じられ、特に退屈する事も無く鑑賞できた。
池部良、森繁久彌、伊藤雄之助、藤田進、小澤栄太郎らが、会社がプログラムピクチャーとして撮るなら撮るで、より性格的に誇張されたわかりやすい演技をしてやろうと意欲的に取り組んでいる感も伝わってくる。
なお、現地人の祭りの場面で踊っている男は、俳優としてデビューする以前、ダンサー時代の中山昭二ではなかろうか?
『太陽娘と社長族』で踊っている姿とソックリなのだが・・・。