フォーガットン [DVD]
最初からぐいぐいと引き込まれるほどの面白さですが、子供を持っている人達(とくに母親)を主人公としているので、独身者にはつまらない映画のはずです。作者及び監督の着眼点は素晴らしく独創的です。レビューしにくい作品であり、少しでも詳しく書くとネタばれになってしまうので、子持ちの人達にはとにかく見てもらうしかありません。サスペンスに溢れ、迫力もあり、場面展開も早く、最初から終わりまであっという間に見てしまうでしょう。
なぜ、このようなすぐれた映画の評価が低いのか不思議ですが、作る側もやや突っ込み不足というか勉強不足のところがあったように感じます。作品では母性愛の深さと記憶の不確かさの2つが大きなテーマになっています。母性愛については十分表現できており、それが作品の骨格となっていますが、記憶ということについては抽象的にも、具体的にも十分に深い考察がされていません。
記憶は完璧なものではなく、場合によっては薬物等によって部分的に忘却可能であったりします。しかし、他者によって忘却されてしまうということは、その人の人生も奪われてしまうということです。記憶=人生、もっと正確に言うと、愛を中心とした若い溌剌とした時期の記憶=人生だからです。80歳代の人達が2,3日前のことを忘れやすいのに対し、青春時代のことは鮮明に覚えているという現象はよくあります。まして我が子と青春が重なり会えば、人生最高の時期であり、生きるということはそれを記憶しているということであり、忘れてしまうということはすでに死んでいるも同然なのです。主人公に誰でも共感できるのは、まさに我が子ばかりでなく、生命への強い意志です。この映画を見てそうしたことを実感しました。
見かけよりも深みのある作品で、十分に面白いですが、掘り下げ方が足りませんでした。
フォーガットン [DVD]
とにかくこの映画を判断するには見るしかないです。あまりの馬鹿馬鹿しさに口をあんぐりあけて小さなハッピーエンド(!?)を見るか、とてつもない陰謀を感じ取って衝撃的に見終わるかは、もうこれ見る人それぞれでしょう。
この映画の存在を知ったなら、あまり予備知識を持たないでまず一度見る事をお勧めします。そして気に入ったなら数回リピートして鑑賞しましょう。きっと面白い発見が多数ありますから。
The Long Forgotten Friend
イリノイ州はシカゴ発、そしてgraveface records主催者であるryan gravefaceことryan manonによるband、dreamendの2nd albumの日本盤。
リリースはhappy princeから4枚目、gravefaceからは28枚目。
元々postrrockやslowcore、shoegazer等といったスタイルで認知されていたけれども、今作ではryan manonのvocalを前面に出して、dream pop、Psychedelicのエッセンスも含んだ、非常にemoな1枚に仕上がっています。
今までのスタイルからの変貌に戸惑うのかもしれませんが、postrock出身で音響的なサウンドや、深遠・悲哀と言った言葉で飾れる雰囲気は、活動を通して貫かれていると思います。
今作の背景には沢山の人間が関わっていて、trk-2,4ではoctopus projectのtoto miranda氏がdrumで、trk-3,9ではkid dakotaのdarren jackson氏がguitarで参加。
また半数の曲のmixを行ったjohn congleton氏は、explosions in the skyやmodest mouse等のmixも手がけてきた人物です。ちなみに日本盤のジャケットの、とても素敵なパッチワークデザインはmichilu sugawara嬢主催のchimeraによるもの。
タイトルの"the long forgotton friend"とは、ryan氏本人の、叔母の事だそうです。
フォーガットン [DVD]
これは非常にハリウッドが好みそうなストーリーではないだろうか。過去にも同じような内容の映画は何本もあるので斬新なアイディアではないのだが、この手の超常現象(?)を好む人や未知の世界の扉を開きたい人には好意的に受け入れられる作品だと思う。好みの問題なのだが、前半のムードが良いのでこの雰囲気を壊さないでほしかった。後半の展開は無理がありすぎるのではないだろうか。しかも、人間を拉致したと思われる宇宙人かあるいは人類を遥かに超越した知的生命体はその存在や何のために実験を永遠に繰り返しているのか説明が皆無なため突拍子もないストーリー展開という印象が残ってしまう。ただ、この手の映画はどれも確信的な部分はグレーゾーンになっているから方法論としては間違っていない。彼らの存在や行動原理にまで触れてしまうと違う映画になってしまうだろう。秋の夜長にミステリー小説を読むミステリー・ファンやサスペンス・ファン向けの作品ではないだろうか。もちろん傑作ではないから、コーヒーでも飲みながら気楽に見るのが良いだろう。