あたたかい水の出るところ
表紙に惹かれて手に取りました。
木地さんのことは全く知りませんでしたし、最初の2〜3ページを読み始めた頃は 正直読むのやめようかと思ったくらいです。最近見かける 安っぽい癒し系の小説に思えたからです。
主人公はお風呂をこよなく愛し、こだわりのお風呂セット(石けんは○○、石けん入れは云々)を持って銭湯に出掛けるのだけが楽しみな ちょっと変わった女子高生 ゆず。毎日ゆらゆらと漂う様に生きています。
それが読み進むうちに、問題を抱えた家庭で生き抜いていく為の無意識の自己防衛行動だということがわかってきます。
このままぼんやり一生を終えるのかな〜と自分でも思っていたのに、心の中からふつふつと沸き上がってくる本当の気持ち
それが確信に変わった時、ゆずの人生が動き出します。自分の力で 夢も大切な人も 全部掴んで歩き出します。
あんまりうまく行ってなくて こころが重くなってたら 読んでみてください
さっぱりして軽くなります
何回も読みたくなる、ずっとそばに置いておきたい作品です
氷の海のガレオン/オルタ (ポプラ文庫ピュアフル)
「氷の海のガレオン」。
自分だけが特別かも知れない(でもそうじゃないかもしれない)。
自分が孤独なのは天才だからかもしれない(そうじゃないかもしれない)。
自由な言葉を話す家族に囲まれて育ったからこそ、同級生の中で疎外感を持つ11歳の少女杉子。
狭い子供の世界の中で、普通じゃないってのはつらいなぁ、と思います。
杉子の両親は詩人のようなちょっと変わった人たちだけど、話のエッセンスだけは共感できる人も多いのでは。
書き下ろしの「オルタ」の方は、小説というまでには昇華されていない日記的な(ブログ的な?)、書き方ではあります。
でも、母親が必死に娘と、娘の周りの世界を理解しようとしている姿に説得力がありました。
6〜7歳の子は確かにこういう孤独な世界を抱えている子もいるかも。
悦楽の園
本屋さんの新刊コーナーで「木地雅映子」という名前を目にした瞬間、あれ?と思いました。
ようやく新作を出されたんですね。しかも表紙&タイトルはボスの絵。
それだけで既に面白そうな予感がしたので、手にとって迷わずレジに直行しました。
引き込まれ一気に読んでしまいましたが、まだうまく解釈ができません。
よくわからないけれどなぜか惹きつけられ、仮想したり、物語の意味を見出したくなる・・・
読後感は、ボスの絵を初めて見た時に受けた印象と似ているかも知れません。
すでにいい年をした大人である自分からすると、描かれた中学生の世界に気恥ずかしさを
感じた部分もありましたが、そういった感情を自身が持ったことさえ気になってしまいました。
ボスの絵からインスピレーションを受けてこの物語は描かれたのでしょうか、それとも南が
描いた世界がボスの絵にたまたま繋がったのでしょうか。悦楽の園とは?何かと気になります。