孤高の人〈上〉 (新潮文庫)
山岳小説では日本百名山・氷壁と同じくらい有名な作品。
主人公の加藤文太郎さんは、サラリーマン登山家(プロの登山家ではない)として稀代の登山記録を残した人で、兵庫県六甲山には彼の偉業を展示した記念博物館がある。
彼が生きた時代を知れば解るけど、彼の登攀記録は本当に凄まじい。
彼を育てた六甲山の存在も、この作品を通じて伝わってくる。
ちなみに、北アルプスの名峰槍ヶ岳の北鎌尾根を冬季に登攀中壮絶な凍死をしたことでも有名だけど、彼は北鎌尾根を下降したのであって、登攀はしていない。
劔岳 点の記 メモリアル・エディション [DVD]
劔岳には2度登ったことがあるので、
本作品はある意味懐かしく見ることができた。
よくあの厳しい場所であれだけの撮影ができたと思う。
俳優だけでなく撮影チーム全員が、
雲上から直接照りつける太陽の光を浴びて真っ黒に日焼けしたと思うし、
容赦のない風の強さや雪の冷たさに心も体も震え上がったと思う。
そして、劔岳が持っている独特の神秘性に魅せられたかもしれないし、
何よりも、今よりも遥かに性能が劣る明治期の登山用品で
劔岳を制覇した当時の人々の熱い思いに感動したと思う。
ちなみに、測地のプロフェッショナルいわく
「測量に使う道具や実際の測地の方法はよく再現出来ているが
山頂からの手旗信号はいくらなんでも演出だね」とのこと(笑)
ま、あれは映画だけの演出なのでご愛嬌かと・・・
八甲田山 特別愛蔵版 [DVD]
素晴らしい名作です。しかし今やスターウォーズの旧三部作がそれぞれリニューアル版とオリジナル版の二枚組を三部作まとめて買うと三千円ぽっきりという時代です。日本の映画会社各社は日本の映画が魂を持って製作されていた80年代初頭までの名作の数々を、リアルタイムを知らない若い世代に普及させる気概を持っていないのでしょうか?八甲田山は近くのTSUTAYAにも何故か置いてありません。また新田次郎原作の映画なら「聖職の碑」も見たい。もう少し家族に遠慮しないでお小遣いでも買える程度の価格でお願いします。旧作なんだから。日本映画もいつか安い価格でのソフト化がなされると期待して、かれこれ何年たったやら…。いい加減に真面目にマーケティングリサーチすべきです。この様な名作に、あえて星3つをつけてまで言いたいのはそれだけ。