ユーラシア胎動――ロシア・中国・中央アジア (岩波新書)
奥付をみて『シベリア抑留』(2001)の著者と知り、現地の
情報通のものだなと思い、軽い気持で読み始めました。しか
し、書かれている内容の重大さに目を見張りました。
ロシア、中央アジア5カ国そして中国を中心とした地域での
最近の変貌が、それらの国が構成する上海協力機構という
地域協力組織、かつてのシルクロード地域で進む交通の整
備と物資の往来そして東への延びるパイプライン網などを話
題の軸としてレポートされています。
著者が言うように「アメリカを通じて世界を見るという惰性か
ら抜け出し、(中略)ユーラシアのダイナミズムに日本が本格
的にかかわることで、この国の時代閉塞の混迷を打破するき
っかけになる」(序章)かは、直ぐに結論が出るものとは思え
ないものの、一度は議論する値打ちのある提案だとは思いし
た。
基本的にはルポタージュなので、深い洞察には欠けるのか
もしれませんが、二百数ページの新書版としては十分な時事
情報と必要な考察が盛り込まれていたと思います。
シルクロードの赤い宝石―トルクメンの装身具
衣服も装飾品も赤。何故赤なのか。
トルクメンの人たちの生活と風土と織物と飾りもの。
いずれも赤が基調となっている。
赤が基調なのは、チューリップが咲き始める頃が春で、赤のチューリップの喜びと関係があるらしい。
ポーラコレクションを写真で紹介しながら、トルクメンが分かる本になっている。