男組 少年刑務所 [DVD]
後の学園ものの漫画に大きな影響を与えた伝説の作品「男組」の完全映画化。
当時20代後半の舘ひろしを始めとするクールスの面子が高校生役というだけでも、めちゃくちゃだが、原作同様のぶっ飛んだ世界観を実写化する東映の姿勢が素晴らしい。
前作、「暴力教室」では挿入歌として「恋のテディーボーイ」が流れていたが、本作にクールスの挿入歌はない。
クールスファンは残念に思うかもしれないが、観れば必ず納得する。
クールスの歌の世界観と「男組」はマッチしないからだ。
しかし、クールスのキャラクターと「男組」の世界観はドンピシャになっているため、期待を裏切らない内容に仕上がっている。
本作には単なる暴力学園ドラマと済ませられない熱気がある。
是非とも、クローズシリーズに慣れ親しんだ最近の方々にも観てほしい。
覇―LORD― 19 雑草 (ビッグコミックス)
劉備玄徳、談。
「雑草には、規律も何もなし。放置しておくと、無秩序に伸び、周囲の環境をあらしてしまうのだ。」
倭の国からやってきた盗賊:常元を表現した、まさに至言。
しかし、「覇」は、常元がいてこそ、前に横に物語が転がるのだ。
常元なき「覇」は、空虚な歴史物語に堕落してしまう。
人として最低の存在、常元は、とにかく、他者を荒らしまわる。
そこにあるのは、自分が生き残ることのみ。
それ以外の価値観なし。
この怪物を、この物語は、どこまで育てていくつもりなのか?
クライング・フリーマン [DVD]
この作品の魅力は何と言っても、知る人ぞ知るマーク・ダカスコスのアクション&美しさである。
大地から跳躍し空中回転するシーンがあるのだが、その時なんと彼の身体の中心軸は地面に平行!これを初めとして身のこなしの切れの良さなど、格闘技畑出身のマークの動きには目を見張るものがある。また、演技力の方は本作品撮影当時はそこそこといったところだが、安心して見られる範囲である(その後の上達具合は他作品にて確認されたし)。また、何カ国もの血を引くマークの容姿の美しさや、彼の喋る日本語の流暢さにも注目。一時(?)は、「ハリウッドの秘密兵器」とも囁かれたとか…。
他には、これまた美男の加藤雅也氏のヤクザのボス姿もなかなか様になっている。
と言う訳で、美しいもの好き、アクション好きの方にはおすすめ!
ただ、原作が日本の「人気漫画」というもののストーリー性はあまり期待できず、出演陣の一部で演技が荒削りなのもご愛嬌。欲を言えば、フランス版に見られる多彩な特典映像が日本版には入っていないのが非常に残念な点である。
妖怪になりたい (河出文庫)
本書は『水木しげるのカランコロン』の再編集本です。『カランコロン』所収のエッセイのうち、対談・インタビューすべて(計13)と一部のエッセイ(計25)、マンガ(計2)をはずし、新たに19のエッセイを加え二分冊にしたものが、本書と『なまけものになりたい』です。
本書に新たに追加されたエッセイは12編で、巻末には池上遼一先生と著者との談話があとがき対談として収録されています(下記参照)。つげ義春氏と筆者との交遊や、つげ氏が「紅い花」の主人公の名前が思い浮かばなくて水木プロのソファで寝っ転がって考えていたなど、池上先生は興味深い話をされています。
あと、水木先生が「白土三平は生きてるわけ?」とたずね、池上先生が「存命です」と答えるくだりを読めただけでも、本書を手にした価値があったかなと思いました。
追加エッセイの数が『なまけもの』より多いこと、水木先生の対談が収録されていることを重視される方は、まずこちらを読まれることをおすすめします。
「落第記」思想の科学1981年1月号
「さつま芋」宝石1977年11月号
「貧乏なのに働かない趣味人」文藝春秋2001年7月号
「運動不足解消が必要」宝石1975年4月号
「水泳」週刊新潮1994年10月6日号
「世の中には不思議なことが多すぎて・・・」芸術新潮1996年3月号
「私は死者に『引っぱられた』」週刊読売1977年8月13日号
「今も聞こえる兵長の『パパイアはまだか」」週刊読売1984年8月12日号
「踊り好きの初年兵と密林の少年トペトロ」アサヒグラフ1994年11月18日号
「アボリジニの魚」文藝春秋2000年1月号
「精霊の呼び声」アサヒグラフ1993年12月10日号
「妖怪踊りの輪に加わった」朝日新聞1998年7月30日夕刊
「あとがき対談 『鬼太郎』連載時の水木プロのこと 水木しげる×池上遼一」