天牌 8 凍てつく打牌編 (Gコミックス)
河野高志、ちょっと可哀想じゃないか? 作者もそう感じたから、後で健次郎や義明と対戦させたのだろう。そこでも彼は惨敗するが、当人にとっては苦痛でも(死を意味する言葉を散々聞かされる)あまり深刻さを感じさせないようになっている。心情を考慮したこの退場のさせ方は嶺岸作品ならではだが、渋谷戦を棄権してゆくよっちんの場合は違っていた。よっちんにとっての最大の苦痛ということなのだろうが、今後返り咲くか、勢いは減っても麻雀は続けていく展開にして欲しい。
健次郎は四川の対戦のことをどれくらい覚えているのだろう。渋谷戦の終盤で義明を思い出す際に四川の名前も出てくるから、一応は覚えているのだろう。しかし、よっちんが義明の仲間だと知ってからは、露骨な蔑みや容赦ない仕打ちを八角らと同じようにしていくのだ。そんな手に引っかかるか、と言わんばかりに。確かめたいなら、瞬のことを言う方法もあるではないか。義明には仲間などいないと思い込んでいたのかもしれない。黒流会の思考や記憶はいい加減なのだし、「君の軽はずみな一言が、隆の命を奪ったんだ!」という叫びが聞こえなかったはずはないのだから。