僕の小規模な失敗
福満しげゆきによる自伝マンガといえば、
全て説明した事になるだろうか。
工業高校で絶望し、退学。定時制高校に入りなおして絶望。
大学になんとか入り絶望。マンガを描く事で自我を保とうとするが、
「自分には何を描きたいとか、そういうものがない」
あくまでコミカルに絶望と失意を描いた、まさに現代の「まんが道」。
同窓会の二次会の後、ぽつんと孤立している場面での、
「おなじみの気分」
というモノローグに代表される、感じる事はあっても、
表現に結びつくとは思えないような日陰者の心情を、
これほど正確に、赤裸々に、楽しく描いたマンガがあっただろうか。
それでいて、ラストでは、私は感動のあまり流れる涙を止める事ができなかった。
全人類(先進国に住む者に限る)必読。
映画化を強く希望します。
僕の小規模な生活(6) (KCデラックス)
五巻も面白かったけど或る意味続編でもあるこの六巻も面白くてチキショウと思いました。芸達者だよな〜。漫画としての作り方、魅せ方を心得ている。いや〜この人はこれからもますます上手くなっていくことでしょう。ああムカつく。
応援しながらも腹を立てているこの気持ち……なんなんでしょう……。
五巻の時は薄さが気になりましたが今回は「ま、いっか」と許せる感じ。中途半端に終わってる(なのになぜ帯には「読み切り」と書いてるのか謎)けどゾンビ物も入ってるし付け足しで最後に描き下ろしもあるし色々工夫してる感が伝わってくるので。
いつか「カラスヤサトシさんへの敵意」をぐぐうっと深く掘り下げて描いて欲しいです。面白そう。
……ひとつだけ、言いたいこと……。
作者のドキュンぶりをこれでもかと魅せつけていくというのがスタイル、と分かってはいるのですが、この漫画、「妻を愛してる」姿を描いてるだけで絶対自分が「愛されてる」というのを表に出さないんですよね。正式に付き合うことになったその時のこととか、「同棲しよう!」となったその時のこととか、キスとかまあそれ(性的なこと)はいいとしても、ちょーっとぐらい、えーんやないのと思うんですが。
特にそれが読みたいというわけではないんだけど、あまりにこう「愛されないけど愛してる、底辺(別に底辺じゃないんだけど……)で必死に頑張ってる僕」だけを執拗に描かれても、それがリアルであればあるほどある部分にはフタをするというのがちょっと……。やっぱり不自然……。
そろそろ、告白したまえ!と、言いたいです。なんちゃって。