ぼくの村は戦場だった。
著者が内戦取材中に銃撃で死亡したことで、初めて読んだ。
世界各地といっても、多くの人には 何処にあって、どんな人が住んでいて、何が起きているのか、殆ど知らない場所を取材している。
出版当時も、相応の評判と読者の心を揺り動かしたであろうことが分かる力作であり、今読んでもその価値は何ら変わることはない。
一点思うことは、「今読んでもその価値は何ら変わらない」のは、彼女の必死を嘲笑う、あるいは、黙殺、あるいは気付きもせずに、
世界各地で内戦や虐殺は続き、なにより、彼女が足を運んだ地ですら、状況は変わっていない。
そして、告発者たる著者はその地で銃弾に倒れた。
死と直面する人達に目を向け世に問う者は決して少なくないが、その死に自らが直面することを、私達はあり得ないと思っている。
死を実感せず見ようとしない多くの者達が内戦や虐殺を終わらせていないのだろうか・・・
本書は、著者が死んだことで、他のどんな本よりも強い告発力を得たと思う。今から読んで全く遅くない。
世の中への扉 戦争を取材する─子どもたちは何を体験したのか
戦争の傷を、心に体に受けている子どもたち。
爆撃で親やきょうだいを、地雷で足や手などを、さらに希望や感情を失っている。
154センチの小柄なジャーナリストは、カメラとノートとペンを持って、その現実を世界に伝え、平和な未来へと。
その途半ばで、銃撃されて亡くなった。
娘の死を受けて取材に応じている父親も元新聞記者、その影響を大きく受け、伝える仕事へ。
1年前に、小学上級以上の10代向けに出された本。
戦争の最前線にいる子どもたちの姿を想像したい。
同時に、そこにいた彼女のことも。
紛争・戦争の最前線で取材を重ね、いのちの尊さを、
いのちをかけて伝えた日本人ジャーナリストがいたことを本書の記憶とともに歴史にしっかり刻みたい。
アザーライフ スタンダード・エディション [DVD]
面白かったです。難しい話しなのかなと思ってたのですが、登場人物を上手く繋げていて無理なくストーリーに引き込まれます。最近観た作品の中でもかなりいいです!岩崎大さんがとても良かったです
中継されなかったバグダッド-唯一の日本人女性記者現地ルポ-イラク戦争の真実
「戦場ジャーナリスト」というと、どこか“戦争フェチ”というか「極限の緊張下でこそ生きがいを見出す無鉄砲者」的なイメージでくくられがちですが、山本美香さんは真逆。穏やかで、控えめで、慎重。とても日本人的な女性が、苛烈な戦場から沈着なレポートを発信し続けているのです。
その気質のほかに、山本さんはジャーナリストとして二つの大きな武器を持っています。ひとつは、まず「女性」であるということ。もともと男社会である紛争地域での、きわめて男性的な権力闘争。その「男社会の負の部分」に、女性だからこ柔軟に切り込み、男性には持ちづらい「生活者目線」での取材ができるのです。
そしてもうひとつは、「フリー」であるということ。ジャパンプレスという独立系メディアで活動する彼女は、大メディアに属さないからこそ、縛りのない、かつきめ細やかな取材ができるのです。どんな過酷な(安全的にも、資金的にも)条件下でも、ビデオカメラ一台で縦横に戦地をめぐる彼女。
彼女を見ていると、ジャーナリストは本来フリーであるべきではないか、と思えます(福島原発事故報道でも、良い働きを見せたのはフリーの記者でした)。そして女性であるということが、男社会だからこそ重要な意味を持つのではないかと、本書を読むほどに確信します。
残念なことに、このレビューを書く前に彼女はシリアの地で取材中に亡くなりました。日本のメディアにとって、大きな損失です。そして、本書が著された9年前から、(ブッシュもフセインも去りましたが)戦火は絶えることがないという世界の現実に、がく然とする思いです。