∀ガンダム ― オリジナル・サウンドトラック 1
カウボーイ・ビバップのサウンドトラックで大きな評価を得た菅野よう子さんですが、この作品では、エスカフローネやブレンパワードの流れをひく、雄大で重厚なオーケストレーションと幻想的なサウンドを聞かせてくれます。
まずすごいのは、ブルガリアン・ヴォイスをイメージする女声が美しい「1. Spiral re-born」と、民族楽器がワルシャワ・フィルならではの壮大なオーケストラと見事に融合した「2. 地の淵の原理」で一気に作品の世界に引き込んでおいて、どこかノスタルジックな「3. 軍靴の記憶」で留めを刺してしまうところ。このあたりは、単に使用した曲を寄せ集めただけのいい加減なサウンドトラックとはまったく異なり、(菅野さんのどの作品にもいえることですが)アルバムとしての高い完成度を予感させます。
全体的にブラスを積極的に活用することで躍動感というか勇ましさを表現しているのが、過去の作品ではあまりなかったものです。また一つ、菅野さんは新しい世界を切り開いたな、という気がします。
「7. The third advent~地にひそむもの」「12. Days」「16. Quiet landing」は、繊細な旋律が本当に菅野さんらしい秀作。そして、「9. Moon」は、冒頭の三曲と合わせて、サウンドトラック三部作を貫くテーマとなる重要な曲。メロディもさることながら、(実は菅野さん当人らしい)Gabriela Robinさんの声が美しいです。この曲の別ヴァージョン「23. 5/4 Moon」も、ギターと管楽器の素朴な構成が気持ちを安らかにしてくれます。
締めくくりは、「21. The song of a stone」と「24. Felicity」。アルバムとしての完成度をより上げるとともに、次の作品への期待を大いに高めてくれるところは、もうさすがとしかいいようがありません。
ショパン・コンクール・ライヴ
このCDを見つけたときは、飛び上がるほど嬉しかった。
あの伝説の名演奏が聴ける!そう思っただけで興奮した。
そして、聴いてみた。。。
コンクール独特の緊張感に満ち満ちていた。
この独特の緊張感が、歴史的名演奏を誕生させるのだろう。
マズルカ(作品59)がとくに素晴らしい。
鍵盤を叩く一つ一つの音が研ぎ澄まされ、
全身に深く刻み込まれるようだった。
「魂に訴えかける」とはこういう演奏のことをいうのだ。心底実感した。
他のCDと比較するとよくわかるが、演奏はどちらも素晴らしいのだが、
伝わってくる緊張感、迫力、壮絶さが全然違う。
彼女のファン、ショパンのファンの方には、是非聴いていただきたい。
ちなみに、それまで演奏されることの少なかった作品59が、
この演奏をきっかけにブームになったそうだ。
実は、作品59は彼女のために作られた作品なのかもしれない。
(そう錯覚してしまう。。。)
ワルシャワの秋 [DVD]
この年は戦争関係のSPドラマが乱立し、他は日本の戦争責任を問うものばかりであったが、このドラマはそれらとはまた違う視点から描かれていて、思想の多様性という意味で貴重なドラマであった。
残念ながら退屈な部分もあり、視聴率はふるわなかった。レフ役の少年は可愛いが、難民とは思えないほど太っていたのが残念だった。
主演の竹内結子の演技はよかった。背筋のピンと伸びた雰囲気と、子供への愛情を示す愛情との対比が見事に演じられていた。
こうした作品を、今後ももっと力を入れて製作してくれることを望む。
天空のエスカフローネ
菅野よう子ライブでエスカフローネを知った。
女性版ダンバイン?なのだが、視点が女の子なので、成分の半分は少女漫画のノリ。
しかし、この作品で使われている音楽の質は、改めてCDで聴くと驚愕の一言に尽きる。
特にオーケストラのストリング類の使い方が上手い。演奏はワルフィルだからさらに上手い。
菅野よう子の才能に脱帽するしかない。
音楽担当だった菅野よう子が、おそらくアニメスタッフ置いてけぼりで暴走し、音楽のクオリティが異常に上がっていったのではないだろうか。
今聴いても新鮮で驚く。
当時十代だった歌姫・坂本真綾の歌声は少々あどけなさが残る。ウン十年前の笠原弘子を聴いているようで懐かしくなって、個人的にはなかなか良い。(・∀・)
子どものためのコルチャック先生
タイトルそのまま、子どものために生きて死んだコルチャック先生の生涯。子どものために簡略にまとめられてるが故に、かえってその生涯のコアとなる部分がくっきり描き出されている。この本を読んだ子どもは、「世の中に、こういう大人もいるのだろうか」と、回りを探すかもしれない。子どもの信頼を得ることは、容易ではない。