展覧会の絵
1971年3月26日にニューキャッスル・ホールでライヴ録音。同年11月発表。彼らの3枚目のアルバム。
実際はセカンドの『タルカス』より前に録音されていた本作はクラシックを完全エレクトリックでライヴしたいという彼らの一つのテーマの集大成である。彼らは短期間でひとつひとつのアイデアを次々と形にしていった。
彼らの選択した曲は19世紀のロシアの作曲家ムソルグスキーの『展覧会の絵』だった。元々ピアノ曲の難曲で知られるこの曲はクラシック畑でもホロヴィッツのようなバカテク・ピアニストでなければこなせないような難易度Sの曲として、チャイコフスキーのピアノ・コンチェルトやベートーヴェンの後期ビアノ・ソナタ第29番『ハンマークラーヴィア』等と並び称される曲である。これをオーケストレーションしたのがモーリス・ラベル。ELPはロック・オンリーのファンは知る由も無い超難曲のエレクトリック化に挑戦したのだ。
これは後のプログレ・シーンに多大な影響を与えることになる。特にYESのリック・ウエイクマンが『こわれもの』で取り上げたブラームスの交響曲や、『Yessongs』のオープニングで使われたイゴール・ストラビンスキーの『火の鳥』の最後の部分のメロトロンによる演奏などに大きな影を落としていると言えるだろう。
本作の演奏は実に見事である。ロックの本質のドライブ感を保ちながらクラシックの難曲を易々とこなす彼らの音楽的レベルの高さにただ脱帽だ。プログレ・ファンが、耳の奥底に残るキング・クリムゾンの『クリムゾン・キングの宮殿』・『ポセイドン・キングのめざめ』での深遠な『声』の持ち主グレッグ・レイクがその場所に安住することなく、歩み出したこのトリオの音楽はどんなものなのかを初めて理解したのが本作だと思う。
アンコールまでクラシックの名曲『ナット・ロッカー』である。その徹底した仕事ぶりに脱帽の一枚である。
ELP四部作+3(紙ジャケット仕様)
この評価は、作品自体ではなく、今回のリイシューの付加価値面(買いなおす価値があるか)で付けてみた。
2001年UK盤リイシュー時のボートラがそのまま収められている。
当時のライヴ音源だが、ブート並みに音が良くないし、演奏も特段の面白みなし。そもそも、「Works Live」という当時のツアー音源集が存在するのだから、スタジオ録音盤である本作にはスタジオ系の貴重音源を追加してほしかったところだ。
例えば、貴重とはいえないかもしれないが、関連音源の集積という意味でも「庶民のファンファーレ」のシングル・エディットだけでも収録してほしかった気もする。単純比較はできないが、そういう所まで腐心して関連音源の集積をSCM−CD&紙ジャケで実現しているイエスのリイシュー方針がうらやましい。
Emerson Lake & Powell
オープニングのThe Scoreのイントロから圧倒されます。仰々しいアレンジ
とコージーの迫力あるドラムプレイは以外に合います。GX-1とMidi技術を
合わせ70年台には実現できなかった重厚なキーボードサウンドが堪能でき
ます。
輸入盤ではボーナストラックが2曲追加されてます。The Loco-Motionは
キースの天才的としかいえないアレンジで演奏されています。Vacant
Possessionはグレグのヴォーカルを前面に出した壮大な曲です。グレグ
のヴォーカルが良かったのはこのころまでですね。値段も安く、名曲
2曲も追加されてる輸入盤をお薦めします。
ライヴ・アット・ザ・ロイヤル・アルバート・ホール [DVD]
Liveの歌は、はっきり言って期待はずれです。しかし、訳詞が入るので、絵のでる歌詞カードと思えば、この価格で大満足です.それより、インタビューが、ファンにとっては、興味深いです。内容は、ここでは控えますが、ジョンとジョージに個別にインタビューしています。