ぼくのものがたり あなたのものがたり
子どもの頃に厳しい差別を経験したアフリカ系アメリカ人作家レスターが子供たちに大切な事を伝える真摯な絵本です。
著者は、ぼくのものがたりとして自己紹介し、あなたのものがたりは?と問い掛けます。そして人種や肌の色に話を進め、「ある人種が他に比べて優れている」と考える事は、ほんとうのものがたりじゃないよね?と語ります。「だれのひふの下にも、同じように、かたい骨があるんだ」「ひふの下は、みんな同じ人間」「その人の肌の色だけ、見ればいい?」と例を上げて説明し問い掛ける言葉の数々が読み手の心に鋭く突き刺さります。
本書は著者がこれまで生きて来た人生で得た信念を持って人種差別を受けて迫害された人々の苦しみや悲しみをあえて書かずに人間の尊厳について教えてくれる素晴らしい絵本ですので、今を生きるすべての大人の人たちと次の世代を担う子どもたちにぜひ読んで頂きたいと思います。