モーツァルト:クラリネット五重奏曲
数あるモーツァルトの中でも名曲中の名曲。聴いていると天国にいるような気分になれる。当時カラヤンからベルリン・フィルの首席に誘われ仮採用となったが、カラヤンとベルリン・フィルのいざこざに巻き込まれ、半年で退団の憂き目にあい話題となった。カラヤンの伝記によると、まだ若かったマイヤーはベルリン・フィルの重鎮達からさんざん嫌がらせを受け、演奏できない状態まで追いつめられていたとか。天下のベルリン・フィルでもイジメとかあるんだな。
演奏はピカイチ。マイヤーは柔らかい音でモーツァルトが晩年に到達した境地を現してくれる。後に再録音しているがそっちは未聴。
【HQCD】モーツァルト:クラリネット協奏曲&協奏交響曲
モーツァルトのクラリネット(と管楽器)のための協奏曲をザビーネ・マイヤーと
ドレスデン・シュターツカペッレの組み合わせでモーツァルト没後200年の記念に
あわせて録音されたCDだが、マイヤーの少し憂いを帯びたクラリネットの音色は
本当にモーツァルトの名曲によく合っていると思う。
とくに晩年の傑作K622はどの楽章をとっても、澄み渡るかのような薄暮の雰囲気を
漂わせる演奏で、まさに魂の浄化されて神の国へと旅立つモーツァルトの精神を
感じさせる超名演といえよう。
モーツァルト:クラリネット協奏曲K.622、ドビュッシー:クラリネットと管弦楽のための第1狂詩曲、武満徹:ファンタズマ/カントス(1991)
そもそもカラヤンの晩年期、シェフと楽団員の確執の一因となったのが、ザビーネ・マイヤーの入団問題だった。結局マイヤーは賢明にもベルリン・フィルの入団をあきらめ、ソロ活動を中心とした音楽生活を続けることになったのだが、、、
で、このコンサートは「カラヤン同窓会?!」みたいなもので、なんとアバード指揮でベルリン・フィルとの競演が実現。
そういったゴシップ記事的な興味はともかくとして、、、演奏そのものはごくごくオーソドックスで、マイヤーの少し憂いをおびたバセット・クラリネット(モーツァルトでの演奏)はとくにこの音楽によくあっていると思う。
また、併録されているドビュッシーや武満の演奏は現代的なシャープな表現で現代音楽にも深い造詣をもつアバードの面目躍如といったところか。