赤ちゃんの値段
書きたくはない言葉だが「望まれず生まれてきた赤ちゃん」。一方で、子供を望んでも何らかの事情で子宝に恵まれない夫婦。資本主義的用語を使いたくないが、そこに"需要と供給"の関係が生まれ、"赤ちゃん斡旋業者"が暗躍する。昔の話ならともかく、現代の日本でこうした事が行われている事には慄然とせざるを得ない。しかも、斡旋業者が本当に適正(と言うのもおかしいが)な処理をしているか不明である。極論すれば、里親などいないのかもしれない。
しかし、"赤ちゃんポスト"なるものが法律で認められ、これを採用する県が出始めている事を考えると、日本人全体の感覚が麻痺しているのかもしれない。本書では、厚生省の取締り法の甘さを指摘しており、それは確かだと思うが、こうした問題は法だけでなく個人が持つ倫理観の問題でもあろう。10代で安易に妊娠してしまう少女(勿論、相手の男も問題)。そうした少女を邪魔者扱いする家族。ヨーロッパ人が中世日本を訪れて驚いた、「日本人は貧乏よりも規範に反する事を恥とする」文化は何処へ行ってしまったのだろう。
本書は、"赤ちゃん斡旋"の問題を取り上げ、日本人の倫理観を改めて問い直した渾身のリポート。
揺れるいのち―赤ちゃんポストからのメッセージ
熊本の赤ちゃんポストが設置された当時、「ポスト」は子捨てを助長すると強く批判されたが、実際のところ、どう運用されているのか。この本は「ポスト」の運用の実態と背景に迫る貴重な一冊だ。
この本によると「ポスト」の機能は「子捨て」助長ではなく、相談業務にある。
つまり親が「ポスト」に子を置こうとするのをきっかけに、悩みを抱える親の相談を関係者が受け、さまざまな情報を提供する。そして、今後、どうすべきかを親に冷静に考えてもらう。これが重要な機能らしい。
「ポスト」に子を置いていく、いわゆる「子捨て」のケースもあるようだが、なぜそうなるか、よく言われる親のモラルの欠如以外の理由もあるらしい。
さらに本書では「赤ちゃんポスト」の背景にある、妊娠、出産、子育てをめぐる困難についても、丁寧に迫っている。
本書を読むと、私たちの社会に何が欠けているのかを、「ポスト」が指し示しててくれている…とすら思えてくる。切ない話だ。
「赤ちゃんポスト」に関心のある方だけでなく、妊娠、出産、子育て一般に関心のある方にもぜひ一読を勧めたい良書である。
セーフティーサイン BABY IN CAR ウインドウステッカー 内貼 特殊吸盤 SF-19
一番オーソドックスなタイプの表示だと思います.
一般的なだけあって,最近ではどの方が見られても,一目瞭然じゃないかと思います.
普通に良いです.
こうのとりのゆりかご検証会議・最終報告「こうのとりのゆりかご」が問いかけるもの―いのちのあり方と子どもの権利―
表題で、子供の話には違いないと思いましたが、手に取るまで童話の話かと思っていました。
こうのとりのゆりかごとは、出産したが育てられそうにない場合の赤子の受け入れの仕組みの名前。
2年5ヶ月で51人。都会で課題になりそうな事案だが、熊本県が取り組んだ意義は大きい。
報告はしっかりしたもので、関係した人の真剣さがつたわる。
個別に対応するべきことと、組織でできることの2つが、うまく組み合わさらないと、一方だけではうまくいかないことが分かった。