ショーケン
ショーケンという不可思議な魅力に引き込まれたように読み始めました。彼の口調を思い出させるような文章で、慣れるまで違和感を感じますが、整っていない文体のため逆に生な感じが伝わってきます。何とも不思議な魅力を持った本でした。テンプターズで人気者になって、「太陽にほえろ」「傷だらけの天使」「前略おふくろ様」ではにかんだ表情をみせる役者に転進したショーケンですが、一直線に進んだ道ではなく、非常に屈折していたことを知りました。その頃、特に役者の勉強をしたわけでもないのに大物監督が次々と彼を起用するのですが、その理由もわかってきたように思います。いろんなタイプの映画をよく研究していて、この役は、あの感じでいこう、といった風に、自分で役を作ってゆくのですが、役者としては天才肌の人物であったと思わせます。麻薬で捕まったりしますが、ある日を境にきっぱり辞めたりと、ワルでありながら真面目な性格も兼ね備えています。CMに出演したらその会社の製品しかつかわないそうです。昔気質な面も持ち合わせていて、やっぱり不思議な魅力があります。自分自身でも説明のつかない無軌道な生き方ながらも一本、筋が通っているようにも感じます。生真面目な不良少年のようです。もう一度ショーケンの映画を見てみたくなりました。
日本映画[監督・俳優]論 ~黒澤明、神代辰巳、そして多くの名監督・名優たちの素顔~ (ワニブックスPLUS新書)
「傷だらけの天使」「前略おふくろ様」は放映から30年が過ぎ
ているのに、未だに伝説の番組とされている。それだけにイン
パクトの強い映像作品だったということは認めざるを得ない。
ショーケンが映像作品に欠ける血潮が著書から読みとれる。
それは哲学にもなっている。映像の質、脚本、監督、こだわり
がある!!この人のセンスは凄いなと思えてしまう。徹底した
エンタティメントの作品を追求していくのだろう。
ショーケン映像作品の裏側を知る貴重な著書だ。
約束 [VHS]
小生は高校生だった。当時はまだ洋画一辺倒で、邦画は暗くて地味で、なおかつダサくて……そんな印象でしかなかったのに、これには愕然。邦画を見直すきっかけとなった一本。冬の日本海。ひた走る列車で出会った青年と中年女との絶対に実ることのない、数日間の恋。暗い舞台の暗い話ではあるけれど、撮影(坂本典隆)といい音楽(宮川泰。まだメロディー覚えてる!)といい、そのセンスは良質のフランス映画のようで、齊藤監督は、当時、日本のルルーシュと言われた(それ以上だと小生は思ったが)。同監督でいえば、「旅の重さ」「津軽じょんがら節」などベストテン級の作品より、小生はやはりこの作品が一番(松竹時代の「小さなスナック」はまた別格の傑作だが)。まだ演技以前のショーケンももちろんいいが、一人三役(四かな?)の三国連太郎、何より、ノーメイクに近い岸恵子が絶品。「苦労したんだね、あんた。お袋と同じ手してる」と青年に言われ、水に手を浸すシーン、「蛍の子と書いて、けいこと読むの」「あきらってんだ。けど、明るいって字じゃなくて、朗らかって書くんだ」と初めて名前を名乗り合う、ラスト手前のシーンなどなど、今でも鮮明に覚えている。お願いだから、DVD化してくれ〜〜!!
ゴールデン☆ベスト
最近はあまり話題にはなっておりませんが、シンガー萩原健一の名曲がラインナップされている名盤です。「泣くだけ泣いたら」を聴きたくて購入しました。20年程前によく聴いていましたが、10年後も新鮮な気持ちで聴くことができたらと思います。
SHANTI SHANTI LIVE(紙ジャケット仕様)
何やら妖しい雰囲気を醸し出しているジャケット写真とグリーンとオレンジ色のサイケなLP帯。内容それに寸分違わず、ショーケンのボーカルとDONJUANロックン・ロールバンドの演奏はライブアルバム単位で言うならば「DONJUANLIVE」のそれを更に音圧を上げたような、熱狂そして狂気を通り越した、もはや覚醒と呼ぶべき境地に到達している。
このアルバムは危険だ。危険過ぎる。まちがっても健全な?お友達に聴かせてはならない。とか言いつつ我ながら何度も繰り返して聴いていて時々思うのだが、初見の方がこの歌声を聴いて果たして一体どんな印象を抱かれるのだろうか???イカレたオッサンの訳分からん声…となるのか、否、これは間違いなくハマる、中毒症状必至。ちなみに前作にも言えることだが、Eギターはもちろんツインドラムの振り分けが最高に良いので、スピーカーのみならずヘッドホンで聴くと、演奏の迫力をモロに体感できます。このCD厚プラケースの旧盤もまだひっそり売っていますが、音質改善が著しく良く、ジャケットの妖しい魅力も味わえるのでこの紙ジャケ盤がおススメ。