草迷宮・草空間
『星の時計のLiddell』全3巻とこの1冊があれば後は要らない。
少女漫画というより文学作品・芸術作品と評したくなる圧倒的な世界観…。
こうした作品は「少女漫画」としてはおそらく今後出てこないのではないでしょうか。
ただ価格が高騰しているので復刊・再販を望みます。
星の時計のLiddell (1)
わたしは本作品の第一刷を3巻セットで所蔵している。所蔵というからには特別な存在なのだ。具体的には書斎の聖書と同じくらい大切な本が並ぶエリアにある。この巻は恐らくシカゴの風景のなかで葉月とウラジーミルがヴィとヒューが対になって展開しているように思うが、前者は現実、後者は夢の世界を顕しているのだろう。貫く老師の『胡蝶の夢』に支えられたプロットはわずか6p.だがリデルの妖しく美しい夢の描写を産み出している…もっともどちらが夢かを作者が規定しているとも思えないが。。。わたしは高校生の時にこの作品を読んで憧れ、精神世界と現実のかくも美しい真実をそれ以後求めるようになった。きっと初版をセットで持っている人は本作品を手放そうとはしまいからユーズドが出たら手に入れると善いと思う。手放す人もそれはそれで訳あって本作品にさようならを言いたいが、誰かに大切にしてほしいのだから。