阿久悠を歌った100人~ざんげの値打ちもない~<女性歌謡曲編>
阿久悠氏の残した作品の内、「女性歌謡曲編」では、まさしく代表曲と言える10曲弱と実にレアな作品と思われる10曲強が収録してある珍しいアルバムでした。
生涯に5000曲ほど作詞し、日本レコード大賞受賞も数多く、昭和を代表する作詞家と言えるわけですが、ヒット曲の蔭には、残念ながらヒットせずに埋もれていったこれらの曲に再びスポットライトを当てたのはよい企画だと評価しています。
和田アキ子の「あの鐘を鳴らすのはあなた」、都 はるみの「北の宿から」、石川さゆりの「津軽海峡・冬景色」、八代亜紀の「舟唄」などは説明不要の昭和を代表する名歌謡曲でしょう。平成の世になって各人の関心が個別分散化するようになりましたが、「歌は世につれ、世は歌につれ」と言う言葉通り、時代の空気を表すようなこれらの歌謡曲が昭和には存在していました。高度成長の歩みとともに庶民の生活に歌謡曲は無くてはならない存在となりました。
阿久悠氏はそのような時代を切り開き、寵児として世の中を牽引し続けたわけです。
松坂慶子の「赤い靴はいてた淫らな娘」、伊東ゆかりの「深夜放送」、島倉千代子の「おんなの一生」、森 光子の「湯の町放浪記」、水前寺清子の「昭和放浪記」、ちあきなおみの「かなしみ模様」、美空ひばりの「花蕾」という実に珍しい音源も収録してありますで、その意味でもこのアルバムは価値あるものだと言えるでしょう。
私にとって、自宅にあったドーナツ盤のいしだあゆみの「渚にて」と再会できたわけで、とても懐かしい気持ちに包まれています。希代の作詞家・阿久悠氏が紡いだ作品だとは露知らずにここまで来たのですが。
リーフレットの最後には、この企画を生み出した制作者の思いが綴られています。当初は関わっておられた阿久氏もこの発売をまたずに鬼籍に入られたわけですが、このアルバムを天国でどのように聴かれているのでしょうか。
決定版 東海林太郎
1965年の「ステレオによる東海林太郎傑作集」がヒットしたことにより
復活した東海林太郎は、それ以降各社にたくさんのステレオ音源を残しました。
で、本盤はそのキング盤。私の知る限りキングでは「ステレオによる〜」
の正・続の音源があるので、そこからのセレクトと考えられます。
本盤では往年のヒット曲を細川潤一氏の手馴れた編曲で堂々と歌っています。
まだ東海林さんの声も出ており、最末期の音源と思われるコロムビア、ポリドールの
ステレオ音源よりも安心して聞けます。
問題なのは価格設定。今時1枚で3000円、歌詞カードは貧弱(特にデータ面)というのはいかがかと
思うので、キングレコード様ももう少しお客様のことを考えた商売をして頂きたいものです。
ジェシカおばさんの事件簿【シーズン2 DVD-BOX】
実は、富田耕生が声をあてているタッパー保安官(トム・ボズリTom Bosley:パケージにはトム・ボズリーと記載あり)が出ている話が好きで、シーズン2も買い求めた次第。なので、個人的なおすすめは、2「悪党は岬に眠れ」、7「美女は湖底に沈む」、10「変な手紙がいっぱい」、14「気の毒なレストラン」、17「なんと遺体は別の人」あたり。
あとで分かったんですけど、19「テニスのスター天に昇る」にリンダ・ハミルトンが出てるんですね。
パッケージの裏見て気付いた。
20「仮面祭りの悪いやつ」のノイズと音飛びですね。オリジナルであるってことなので、どうしようもないんですけどちょっと残念。ということで、★マイナス1です。
ブラザー・ベア [DVD]
子供の為にと思って購入しましたが、4歳の息子は最初くまが出てこない×2と言って集中して見てませんでした。その代わりに私と主人が見入ってしまったように思われます。くまが出てきたら息子もしっかり見ていました。コーダとキナイの兄弟愛が生まれすごく感動しました。兄弟というものはやっぱりいいなあと実感させられました。息子は一人っ子なので兄弟というものがよくわかっていなかったようですが、見終わった後、兄弟っていいなあって一人ごとを言ってました。家族みんなで楽しいひと時を過ごせてよかったです。
春駒日記 吉原花魁の日々 (朝日文庫)
著者、森光子による「吉原花魁日記」の続編である。
前著では群馬県高崎の貧家に育った著者が、周旋屋の口車に騙されて、家族を救うために借金のかたとして身を売り、初店から一人前の花魁に育っていく過程が書かれていた。
今回は吉原と言う苦界に身を沈めての毎日の生活の中で見聞、経験した同僚遊女たちや客の生態を鋭く観察し、持ち前の筆力で事実を事細かに綴っている。
前作では主に楼主(置屋の主人)による搾取の構造を見事に分析して見せたが、本編では警察や吉原病院といった医療機関までもがぐるになって娼妓の自由を奪い楼主の搾取に手を貸している実態が描かれている。特に吉原病院に入院中の著者の見聞は、遊女たちが病気(主として性病)になった場合いかなる仕打ちを受けるかを余すところなく叙述していて読者を慄然とせしめる。
その苦界の生活のなかで著者は読書に励み柳沢白蓮(大正天皇の従姉妹にあたる)の女性解放運動家としての活躍を知り、死を覚悟して吉原を脱出、白蓮の元に逃げ込む。
白蓮の元で執筆活動を続け、前著「吉原花魁日記」を出版したあとの、楼主や元同僚の花魁たちの反応も生き生きと詳述されている。
この本はどん底の苦界で身を売って病に倒れていく花魁たちの救出に役立つためにかかれたものであるが、読物としても一級品で、それこを読み出したら一気に読ませるものを持っている。