南極点のピアピア動画 (ハヤカワ文庫JA)
本屋で表紙が目に入りました。こんな、そのまんまの絵を描いていいのか? と思いました。実際に読んでみて納得でした。この小説は「ニコニコ動画」と「初音ミク」が構成要素のほとんどを占めております。それでいてきちんとSF小説として構成してしまうところはむしろ驚異と言うべきかもしれない。ニコニコ動画や初音ミクのことをあまり知らない人は正直、読んでも何のことかわからないのではないでしょうか。そうした人は多少の「予習」が必要でしょう。
一応、ショートストーリーを集めたオムニバスの形式を取っていますが、その全ての話に「ニコニコ動画」と「初音ミク」に相当するものが登場します。最初の方の話は「理系クン」の嫁募集話といった風情でニコニコ動画と初音ミク以外はあまり話にリアリティを感じなかったのですが、最後の2本は続きの話でそれまでの話で登場した人たちも総括的に出演します。
ここで、作者の野尻抱介氏といえば、その昔当時富士見ファンタジア文庫で刊行されていた「クレギオン」シリーズで鉱石の形をした知性をもつ存在とのファーストコンタクトを書いていたのが思い出されます。この本の最後の2話を読んでいて、またそんな感じを受けて懐かしい面白さを感じたのもつかの間、オイ! あの形になるのかよ! そういう展開になるのかよ!! そんな嬉しすぎる話にしちゃったらダメだってば!!!!(嬉)
いゃぁ〜、それまでの話で味付け的に出てきていた作者の「初音ミク」への「愛」が大爆発しております。この作者にとって世界はニコニコ動画と初音ミクでできているのでしょう。絶対にそうでしょう(断言)。もちろん、自分もこの本は当然、初音ミクの音楽をBGMにして読みました。そしてラストシーンでは迷わず「ハジメテノオト」を流しながら読みました(爆)。いいなあ〜こんな世界。
文体はあくまで平易に、きちんとしたSF小説の体裁を取っていますが、これは壮大なギャグだったのか? とも思える読後感ですが、やはりこれは作者の「愛」なのでしょう。そして、同じように初音ミクを愛する人たちはぜひこの本を読んで、一緒に「愛」に浸りましょう。しかし、世界が本当にこんなにミクミクで、人々もこんなにみっくみくだったら、微妙にイヤかもしれないけど、地球も宇宙も全て平和だよな〜としみじみと思いました。
ロケットガール 6 [DVD]
いよいよ最大のミッションは、思わぬ事に。
はらはらどきどきひたすら燃える展開の中にも、
宇宙開発の本質を博士のセリフでさりげなく表現するなど、
なかなか感心させられます。
今回だけではないですが、WOWOW放送時のものと比べると
かなりの部分で絵の修正が入っているようで、完成度は上がっています。
オマケとしてむっちり先生のかわいいポストカード付き。
また3分ほどのパイロット版も収録されていますが、
これがかなり違う絵なので興味深いと思います。
ロケットガール 1 限定版 [DVD]
女子高生が宇宙飛行士、でもしっかりSFしてます
野尻抱介著「ロケットガール」が原作
有人飛行を成功させる為、体重の軽い者つまり女子高生を宇宙飛行士に任命
女子高生が宇宙飛行士という一見いかにもライトノベル・アニメ的設定だ
しかし、その設定にも(ハード)SF的に合理的な理由がある
また、有人ロケット打ち上げの技術・スキンタイト宇宙服などなども非常に興味深い
ふわふわの泉 (ハヤカワ文庫JA)
ファミ通文庫から出ていたため、また、そのやわらかい表紙絵から、ライトな小説だと思うかもしれませんが、想像以上にしっかりしたSFです。
文体はやわらかく書かれてますが、内容はすごくよく作られていて読み応えがあります。
特にラストの突き抜けた爽快感がたまらないです。
長らく絶版状態になっていて、しかも星雲賞受賞作という堂々とした作品のため人気が高く、ファミ通文庫版の古書はプレミアがついて定価の数倍の値段で売られてるようです。
現在すでにハヤカワ文庫から再版されています(2012/7/6発売です)が、Amazonではなぜか7/24日発売となっているようです。
沈黙のフライバイ (ハヤカワ文庫JA)
明るい。天真爛漫な短編SF集。子供のころの科学好きの気持ちを天真爛漫に短編にしたようです。ハードSFではないと思うけど、読んでいて思わず、「そーそー、そーなんだヨ」とほくそ笑んでしまいます。文体も軽快だし、良いですね。