未成年 下巻 (新潮文庫 ト 1-21)
ドストエフスキーの長編では、最も知名度が低いと思われる作品。
それもむべなるかなで、何だか混沌として、よくわからない。
晩年に近い、「カラ兄」前の長編だというが、無名時代に書いたのかと思うくらい完成度は低い。
一体何が言いたいのか?という感じ。
主人公はコンプレックスの塊のような若造アルカージイだが、「カラ兄」のアリョーシャのような好青年ではなく、ひねくれて小生意気で、しかも酒・ギャンブル好き。
およそ可愛げがない。
主人公の手記という形の一人称で、父との関係を中心に話が進むが、前半は反発していた父の評価が後半はガラリと変わったり、分裂的な印象がある。
登場人物も錯綜しており、筋を追うのが難しかった。他のドストエフスキーの作品では、そんなこと余り感じなかったのだが・・・
しかしさすがに最後は盛り上げ、締めは主人公の知人がこの「手記」の感想を手紙で述べるというオチ。
自分で解説まで付けたわけで、「戦争と平和」っぽいが、事実ドストエフスキーはそこで「戦争と平和」論も披露している。俺は歴史小説ではなく現代小説を書いたんだ、というわけだが、その姿勢が後の「カラ兄」を産んだと考えると、やはりファンは必読かな。
ドストエフスキー初めて読む人には薦められないが。
未成年
私は、香取慎吾さんが好きで昔出ていたドラマを見まくっていました。
その中で、一番感動して何回も涙した作品が「未成年」でした。
本屋さんで、偶然原作の本を見つけて読みましたがドラマのシーンが頭に浮かんであっという間に読んでしまいました。
本当に、男の友情などたくさん伝わってくる作品なので、オススメします!
未成年 DVD-BOX
自分の原点となる考え方に、地響きのような衝撃的な共感をもたらしたテレビドラマ。
ふだんドラマなんて見ないけれど、これは昔意地でもビデオにとって毎回欠かさず見ていた。本当に最高におもしろいドラマだった。
ウンコもらしたとか風俗嬢が出てきたりとか、けっこうエグい内容もある。今となったら少し問題にされそうな内容かもしれない。でもこんなドラマが許された1990年代のテレビドラマ界はすばらしいと思うし、いつかまたこんな風に現実に切り込むドラマが出てくれればと思う。
キャストもすごい。皆がそれぞれに闇を抱えている役柄を、非常に上手く演じている。
不思議なのが、擦り切れるほど見たビデオ、何回見ても涙が出る。特に最後の方は名言だらけで、他人と比べられることに異を唱えた主人公ヒロの自由さに、当時あらゆることに縛られた学生だった私は心から感激した。自分が言い表せないもやもやを、ヒロがとてもうまく代弁してくれたような気持だった。スカッとした。しかしどこか切なくて、若さが空しくて、余韻が後を引いた。今なお忘れられない。
永久保存版としてのDVDは、高価だが買いだ。このドラマは今見ても古くない。このドラマにかかわったすべての人に敬意を表したい。
未成年 上巻 (新潮文庫 ト 1-20)
恥ずかしながらこの小説のことを知ったのは、ドストエフスキーを読み返し始めた今年になってから。
「罪罰」「白痴」「悪霊」「カラマ」と並んでこの作家の5大小説と言われているとのことだったので、これは読まねばと思いトライしました。
とにかく登場人物が一筋縄でいかないドロドロしたドストエフスキー的人物ばかりで、後半はドストエフスキー風ジェットコースターとでも言いたくなる展開の中、目まぐるしく物語が進んでいきます。
大筋は主人公アルカージイと実の父親であるヴェルシーロフを中心とした愛憎を描いた小説ということになるのでしょうが(まとめ過ぎ ^^;)、とにかくいろんなエピソードが氾濫していて、主人公の心理描写も克明で精神の内臓まで抉り出される感じでまさにドストエフスキー的世界。
個人的には、この主人公親子は絶対に付き合いたくないタイプですが、こういう人達の内層を描く方が小説としては面白くなるというのもまた真実ですね。
未成年
「未成年」は、シークレット・ライブで、かつて本人も語ったように、自分の青春時代の親との葛藤を歌ったもので、そういった意味ではかなり赤裸々でもある。しかし、その葛藤を終え、心の整理ができてその頃の自分に距離を置いて「自然にできた作品」だと言ってたのが理解できる作品。彼女の魂の歌の中でも、最も輝きのある曲で、当時も今も、子供や子供を持つ親から反響と絶賛が止まないのもわかる。柴田淳はビジュアル系だと勘違いしている人も多いが、彼女の声を聞いて欲しい。彼女の声を直に聴いて欲しい。才色兼備というほかない。透き通る声の中に、歌詞の一語一語を大事にする人。声、歌詞、容姿、非の打ち所がない。これからも期待したい歌手だ。