コラアゲンはいごうまん 実録・体験ノンフィクション漫談 [DVD]
テレビ向きではない、ネタが長いという評判通り、本当にネタが長い。
YouTubeなんかで公開されているネタを見るだけでも、
わりと多くの人がそう感じるんじゃないだろうか。
しかし、そこに魅力があるという、なんとも歯がゆいというか、
燃費が悪い芸風というか……でも、本作を見て、結果から書けば、
爆笑もさせられる事があるほどに面白かった!……となる。
このDVDに収録されたネタ、DVDだからいくらネタが長いといっても、
何本かは収録されていて楽しめるだろうと考えていたら、
一本が予想以上に長く、本ネタといえるのは結局二本だった。
気になったのは、約一時間くらい一本のネタをやり、
途中でまさかの持ちネタのダイジェスト紹介に入ったところ。
相当数のネタを持っているようだが、本当にどれもこれも長いのだろう。
さすがにダイジェストはそそりはするが、なくても良かったかもしれない。
まあ、苦節24年、少しでも売り込みたいのはわかる。
しかし、確かにそのネタへの興味は湧くが、すでにコラアゲンはいごうまんに
興味がある人が見ているんだから、早く本ネタやってくれと、少しでも本ネタ聴きたいと、
やや怠い時間だったのは否めない。出来れば以後、考慮して頂きたい。
気になったのはそこくらい……いや、あとはパッケージが、
必要ない凄みが出ちゃってる気がするので、
もっと可愛らしいパッケージにして貰えないかな……という
個人的な希望があるくらい、かな。
さて、「刺青」や「奴隷」というネタが主に収録されているが、
テーマから想像されるような単純なドロドロした人間模様ではない。
決してブラックな笑いではなく、とても現実的で常識人的な視点で、
職業に貴賎なしという言葉がこのDVDの中でも出てくるが、
まさに差別偏見なく、その人の生き様を見つめて笑いを紡ぎ出している。
テーマがテーマだけに誤解があるかもしれないから書いておくが、
コラアゲンはいごうまんは、誰のことも馬鹿にしていない。
むしろ取材対象への愛すら感じられる。
事実は小説より奇なりじゃないが、他人様の人生は小説より奇なり。
しかし、それをただ伝えるだけで笑いが生まれるわけがない。
嘘があれば簡単にそれは客に伝わって一気にネタが死ぬ。
長いネタも飽きずに聴いてられるのは、経験、体験しているからこそ滲み出る
リアリティがあるからだろう。
取材をして、人間関係を築いて、そしてその経験を笑いが生まれるように伝える為に、
繊細に言葉を選んでいるのだろう。
ネタを聴いているうちに、これは落語か?漫談か?という感覚にすら陥る瞬間もある。
それくらい単なるエピソードネタとは言えない、
プロのエンターテイメントとして昇華されている。
芸人というのは面白いことを言う、面白いことをやって笑わせるのが仕事だが、
それもこれも、計算では出せない、客が読み取って初めて伝わる
滲み出る愛すべき人間性あってのもの。
そういったことすら感じさせる、本物の芸がここにある。
コラアゲンはいごうまんのノンフィクション漫談、面白い!